エコツーリズムで伊勢志摩の「異日常」に触れて 滋野 峻さん(伊勢志摩国立公園指定70周年インタビュー)

掲載日:2016.11.26

インタビュー「私が感じる伊勢志摩国立公園の魅力」
伊勢志摩国立公園は海あり、神宮の森あり、そしてそこに根ざした人々の豊かな暮らしがあります。そうした様々な魅力を、様々な角度から語っていただきました。

今回は伊勢志摩国立公園協会事務局長 滋野 峻(しげの・たかし)さんにお話しを伺います。

(記事協力 : <a href="http://www.isenp.co.jp/" target="_blank">伊勢新聞社</a>)

インタビュー「私が感じる伊勢志摩国立公園の魅力」
伊勢志摩国立公園は海あり、神宮の森あり、そしてそこに根ざした人々の豊かな暮らしがあります。そうした様々な魅力を、様々な角度から語っていただきました。

今回は伊勢志摩国立公園協会事務局長 滋野 峻(しげの・たかし)さんにお話しを伺います。

(記事協力 : 伊勢新聞社
■異例のスピード指定 国立公園指定へのいきさつ

伊勢志摩国立公園は戦後初の国立公園指定を受けましたが、それに向けた活動は戦前から行われていました。後に伊勢志摩国立公園協会初代会長になる石原円吉さんや当時国会議員だった尾崎行雄さん、浜田国松さん、それから御木本幸吉さんなど地元の有力者が活動をしていました。ところが戦争が始まり、活動が途絶えました。

戦後、GHQの支配のもとで国家神道が廃止となり、それまで伊勢神宮は国が守ってきましたが、できなくなった。戦後の復興の中で、神宮が大正時代に植林して大切に育ててきた御用材も供出しろ、という圧力までかかってきました。

神宮の伝統・文化が維持できなくなるという危機感から、当時の高倉篤麿大宮司、古川左京少宮司が、国の保護がなくなった今、国立公園法に守ってもらうよう国へ陳情に出向きました。
訪れた先の石神甲子郎厚生省自然公園審議会委員は、大宮司、少宮司がわざわざ訪ねて来たことを重く受け止め、即座にGHQの担当であったポパム大尉に相談をもちかけ、さっそく視察訪問することになりました。

視察したポパム大尉は「神宮の森に感動した」と言い、さらにその足で英虞湾の真珠養殖の様子も視察し、英虞湾の美しさにも感動したようです。
そして昭和21年11月20日、国立公園として指定を受けたのです。視察からわずか1カ月という異例のスピード指定でした。
■自然保護と観光誘致の拠点

国立公園指定翌年の昭和22年8月、伊勢志摩国立公園協会を設立しました。美しい自然は単に国立公園に指定されただけでは守れません。ここの素晴らしさを多くの方に知っていただくことが大切です。知ることが理解につながって、そしてともに伊勢志摩を守っていただきたい。協会設立以降、自然環境の保護と合わせて、全国から観光客を誘致したりする活動を行っています。
■70周年の目指すもの

まずは次世代の育成です。若い方々に事業の中に入っていただき、伊勢志摩をより理解していただきたい。

もう一つはインバウンドです。海外の観光客にも伊勢志摩のすばらしさを理解していただきたい。そのためには、物見遊山の旧来日本型の団体旅行ではなく、じっくりと滞在してその土地の自然と人々の暮らしを肌で感じられるエコツーリズムが重要です。幸い伊勢志摩にはエコツーリズムの組織・団体がかなりあって、非常に熱心に取り組んでおられます。
■「異日常」が今後のテーマ

日本で一時期「非日常」が観光のキーワードでしたが、私は「異日常」だと思うんです。その土地にあってはごく日常的なもの、訪れる人にとっては「異なる日常」に触れる。それが旅の醍醐味ではないでしょうか。
伊勢志摩国立公園協会事務局長 滋野 峻(しげの・たかし)さん
プロフィル
伊勢市生まれ。昭和45年東海大学海洋学部卒業。昭和48年鳥羽水族館に入社。沖縄営業所長、取締役営業部長などを歴任し、平成22年退社。平成24年から現職。

※この記事は伊勢新聞社 伊勢志摩国立公園指定70周年特集号に掲載されたものを転載しています。

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※掲載されている内容は2016年11月の情報となります
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