伊勢型紙は千年以上の歴史を誇る伝統工芸品!本場の鈴鹿市白子へ取材しに行きました♪
掲載日:2020.07.02
日本が世界に誇る文化、「着物」。繊細さを極めたこの文化の影の功労者が「伊勢型紙」です。伊勢型紙で染めた着物は国を越え、時代を超えて、今なお多くの人に愛され続けています。今日は、そんな伊勢型紙の魅力に触れるべく日本一の伊勢型紙の産地・鈴鹿市へ。計算されつくされた手彫りの神技とそこから生まれた作品をとくとご覧あれ!【取材日:2020年2月】
※この記事は、繁体字サイト「三重旅遊情報讚」用に台湾人ライターが繁体字で書いたレポートの日本語版です。
繁体字を使う外国の方向けに三重県の魅力を紹介している記事ですので、少し目線が異なるかもしれませんが、そういった点もあわせてお楽しみください。
繁体字記事:千餘年歷史的日本傳統工藝「伊勢型紙」, 讓人肅然起敬的職人精神與纖細之美。
「伊勢型紙」ってどんなもの?
意外と説明できないのではないでしょうか。
端的に言ってしまうと「伊勢型紙」は生地を染めるために使われる型紙です。
では「伊勢型紙」はどのようにつくられるのでしょうか。
どのような特徴があるのでしょうか。
そして着物以外には、どのようなものに使われているのでしょうか。
今回は、三重県鈴鹿市にある「伊勢型紙おおすぎ」で学んでいきたいと思います。
先ほども少し触れたとおり、伊勢型紙とは柄や紋様を着物などの生地へ染めるために使われる型紙で、実に千年以上の歴史を誇る三重県の伝統工芸品です。
国からも重要無形文化財に指定され、6名の職人が人間国宝として認定されています。
お店に入るとまず出迎えてくれるのは、ずらりと並ぶ伊勢型紙の作品たち。
まるで、美術館のようですね。一部は販売もされていますよ。
この素晴らしい作品を完成させるには、「型地紙」と職人の「彫刻技法」が欠かせません。
日本の型地紙の99%は、なんとここ「伊勢型紙 おおすぎ」で生産されているというのだから驚き。
細かい彫刻(0.1mm以下も少なくない)と染めに耐えられるように、頑丈で水に強く伸縮しにくいのが特徴とのこと。
型地紙を触ってみると、暖かさを感じることでしょう。
材料は和紙(ほぼ美濃紙)と柿渋(未熟な柿を圧搾した汁液を発酵・熟成させた赤褐色の液体で、防腐・殺菌と和紙を頑丈にする機能があります)。
この2つの天然素材のみ!
型地紙作りの工程は全てが手作業。
職人の手で柿渋の3枚の和紙を張り合わせ
熟ます→乾燥(天日干し)→こそげ→室枯らし→渋づけ→乾燥(天日干し)→室枯らしなどなど、14の工程を50日かけて行います。
しかも、そのあと更に1年ほど寝かせて、ようやく完成。
匠のこだわりに尊敬の念を抱かずにはいられません。
伊勢型紙には、突彫、錐彫、道具彫、縞彫という4つの技法があり、ぞれぞれ専用の小刀の道具を使います。
一つの技法でシンプルに完成させるものもあれば、複数の技法を組み合わせ、複雑な柄や紋様を描くものもあります。
伊勢型紙が世界を魅了するのは、信じられないほどの繊細さが生み出すこの極限の美しさでしょう。
なんと職人達は、3cm四方に900個以上の穴を開けながら美しい文様を描いているのです。
自分にはとても出来そうにありません!
多くの職人が一生を尽くしてこの技術を身に着け、その技は千有余年脈々と受け継がれ、今の「伊勢型紙」となっています。
時代と共に進化してきた伊勢型紙は、現代では生活雑貨や文房具などにも使用されるようになりました。
写真(↑)は手彫りの伊勢型紙でできた和風照明です。思わず見とれてしまうほど綺麗!
他にも、さまざまな伊勢型紙の商品が取り揃えられています。
特に、伊勢型紙で模様が描かれた扇子は外国人観光客にも大人気の逸品。
頑丈で水に強く伸縮しにくいだけでなく、手触りも素晴らしい!
和風図柄の名刺入りや財布もあります。
こんなに素敵なものを身に着けていたら、みんなに注目されてしまいますね!
伊勢型紙でできた可愛いしおり。女性や学生さんに大人気の品です。
鈴鹿市では、この伊勢型紙の伝統を守り続けるために、学校で子供たちに伊勢型紙の伝統を教えたり、体験をさせたりすることも少なくはありません。
もちろん、趣味として彫刻する方もたくさんいます。
店内には、趣味用の紙彫刻の柄や紋様もあり、歳時記・年中行事より、季節感のある型抜き図案を提供されているので、旬の伊勢型紙を自分の手で楽しむことが出来ますよ。
取材した日は雛祭り前だったので、店內には可愛らしい雛祭りの図案がたくさん!
伊勢型紙を手彫りしたくなってきましたか?
日本伝統の柄や紋様が大好きな私は、当然のようにはまってしまいました。
集中して掘っていると、日常の悩みや不安も飛んでいってしまうようです。
伊勢型紙をするための道具(↑)は、型地紙・型抜き図案・2種類の小刀・下敷きくらいです。
興味のある方は、キットを購入して自宅でチャレンジしてみてください!
意外な才能が開花するかもしれません。
(写真は近鉄宇治山田駅内に飾っている伊勢型紙の文様)
先日、とあるイギリス人写真家が博物館に展示された江戸時代の伊勢型紙を撮影し、紹介しました。
デザイナーやアーティストなど多くの外国人から、伊勢型紙こそが日本の美意識の神髄であり、美しさにあふれた素晴らしい国だと多くの反響が寄せられています。
この誇らしい文化を、これからも大切に守っていきたいですね。
「伊勢型紙おおすぎ」は名古屋駅から電車でおよそ40分。
鈴鹿サーキットで有名な三重県の鈴鹿市にあります。
日本の伝統工芸に興味がある方、匠の精神に触れたい方はぜひ足を運んでみてください。
団体の方限定で伊勢型紙の実演も観賞できます。
ご希望の方は、事前に下記のホームページでお問い合わせください。
伊勢型紙おおすぎ
059-386-0271
午前10時~午後4時
毎週水曜日、年末年始
近鉄「白子駅」から徒歩7分