「熊野古道 伊勢路」
巡礼へのいざない
「熊野古道 伊勢路」
巡礼へのいざない
なぜ先人たちは、厳しく険しい熊野の地を目指したのか。
さまざまな思いを抱き、よみがえりの願いをこめて歩いた巡礼の道。
花窟神社、松本峠の地蔵様、苔むした石畳、川の参詣道である熊野川…。
万物に神が宿ると信じた古の人々の祈りに耳を澄まし、
答えを求めて霊場をめざす、巡礼の旅へ。
〜聖地への旅〜
熊野古道とは、日本の各地から和歌山県にある熊野三山(熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社)を目指した巡礼者が歩いた巡礼の道のこと。伊勢神宮と熊野三山という日本の二大聖地をむすぶ世界遺産である巡礼の道「熊野古道伊勢路」の歴史と魅力を紹介します。
世界遺産 巡礼路「熊野古道伊勢路」~ダイジェスト版
「神々をご紹介しましょう。」そう言って、語り部は私の足を止めた。 「自然の神様、というのが私たち日本人の感じる神様なのね。岩にも神 様がいる、木にも神様がいる、水の流れにも神がいる。神様からの力、 パワーををいただいているっていう風に…」あなたはここで神々と大自 然が織りなす奇跡と出逢う。
伊勢路の旅 神々を訪ねて~映像シリーズ1
古より日本人は万物に神が宿ると信じ、自然を神と崇めてきた…。 太陽の神、天照大御神がお祀りされている伊勢神宮。ここで旅の無事を 祈り、熊野への旅を始めます。伊勢路は、伊勢から熊野までおよそ170 キロ。様々な顔、様々な表情をした峠をいくつも越えて行きます。
おもてなし 巡礼者を迎える人々~映像シリーズ2
巡礼の道には、祖先を敬い、自然を大切に守る人々の暮らしがある…。 手をあわせて旅の無事を願ってくれる、年を召した里の人。木の精霊と話して、舟を作る人。「耕して天に至る」と称される棚田を耕す人。自然と、神々と、共存する人々が暮らします。
巡礼 人々を魅了するもの~映像シリーズ3
神々の棲む場所。人はここで自分と向き合い、生まれ変わる。一滴の雨露が、流れとなり、海となり、天に昇り、雨となって戻ってゆくように…。自然の中に神様と仏様が共に棲む世界、それが熊野。人はここで魂のよみがえりを願うといいます。何かに向かい、心新たに一歩を踏み出す誓いなのです。
世界遺産
熊野古道について
熊野詣のはじまり
熊野の山は神々が籠る霊場とされ、国産み・神産みの神「いざなみのみこと」の墓が「花の窟」(熊野市)にあると、日本書紀にも記されています。907年の宇多法皇の熊野詣をはじめに、皇族・貴族が熱心に参詣するようになり、武士や庶民の間にもその習慣が広まったと言われています。
熊野は「よみがえりの地」と言われ、救いをもとめて多くの人が山深くの地を目指しました。その道のりは険しく、厳しい苦行の果てには悟りが開けると信じられています。「伊勢へ七度、熊野へ三度」と言われるほど、厚く信仰されてきた熊野詣。神秘的な力に魅かれ、今も人々は熊野への旅を続けています。
日本の歴史文化が息づく世界遺産
紀伊山地には、古くから自然崇拝にもとづいた信仰があり、日本の文化の発展や交流にも大きな影響を与えました。神仏習合の宗教文化とその発展、紀伊山地の豊かな自然の中で育まれた文化的景観は、世界でも類のない資産として高い評価を受け、三重・奈良・和歌山県にまたがる「熊野三山」、「高野山」、「吉野・大峯」の三つの霊場とそこに至る「参詣道」は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として2004年に世界遺産に登録されました。
〜河邑(かわむら)まつよさんの話〜
熊野古道の語り部として伊勢路を歩いて13年半。
川邑さんにその魅力を教えていただきました。
語り部を始めたきっかけは何ですか
元々バスガイドをしていたのですが、結婚を機に辞めてしまい、子育てがひと段落したときに、語り部を始めました。世界遺産に登録されるという時で、趣味で英語を勉強していたこともあり、チャレンジしてみようと。ガイドをすることが好きで始めましたが、勉強させてもらううちに、どんどん熊野古道のことが好きになって。今では熊野古道、特に伊勢路への愛にあふれすぎるぐらいです(笑)。
熊野古道の魅力を教えてください
一言ではいい尽くせない魅力がありますが、みなさんがまず感動されるのは、自然の美しさ。幾重にも重なる紀伊の山なみ、山が開けたところから見える海の美しさには、思わず声をあげるほど。熊野に生まれ、熊野で育った私には、実は当たり前の景色だったのですが、お客様の反応を見て、これは特別なものだと気付かされました。お客様と共に感動できるのは私の何よりの喜びです。 伊勢と熊野、2大聖地を結ぶ伊勢路は、特別なものです。「よみがえりの道」といわれ、古くから人々が歩いてきたこの路を、自分の足で進み、体感をする。「花の窟」にたどり着いたときには、涙する方もいます。語り部として、そうした旅のお手伝いができることは本当に幸せです。
どんなことを心掛けて語り部をされていますか?
一番大切なのはお客様の安全。怪我なく峠を越えていただけるように、何よりも気を配っています。そして、熊野古道・伊勢路のファンになっていただきたいですね。伊勢路だけでもルートは多数あり、それぞれに特徴があります。伊勢路を好きになってもらって、また来ていただけるよう、楽しいガイドを心掛けています。堅苦しい話だけでなく、写真を撮るポイントをお教えするとか、そんな時間も大切にしています。
語り部をされていて、良かったと思われることは 何ですか
一期一会が多いけど、お客様に満足して帰っていただいたときの喜びはひとしおです。お客様の笑顔は私の大きな喜び。伊勢路はよみがえりの道ですから、神様からパワーをもらって、元気に帰っていただきたいですね。伊勢路を選んでくれた、熊野を選んでくれた、お客様に日々感謝しています。
これから熊野古道への旅を検討している読者の方 にアドバイスをお願いします
熊野古道を歩くときは、ぜひ語り部と一緒に歩いてください。歴史文化についてだけではなく、土地の話や季節の花など、いろいろな話が聞けるので、見え方が全然違って、旅が楽しくなるはずです。一人旅、女子旅、団体、外国からのお客様、いろいろな方がいらっしゃいますが、楽しく帰っていただけるよう、いつも全力でガイドしています。ぜひお声掛けくださいね。
[語り部と行く] 熊野古道
川邑さんをはじめ、熊野古道を知り尽くした語り部が伊勢路をガイドします。 熊野古道を歩くルートは20以上も! 熊野古道の魅力を満喫しましょう。
川邑さんおすすめルート
松本峠~花の窟
距離:約4.1km(熊野市)
歩行時間:約1時間45分
竹林に囲まれた峠をこえ、七里御浜の美しい景色を望み、古代よりのパワースポット「花の窟」を訪れます。
馬越峠
距離:約5.2km(紀北町~尾鷲市)
歩行時間:約2時間45分
熊野古道といえば、このコースを歩く人が多い人気のルート。自然石が敷き詰められた美しい石畳が林の中に続きます。
熊野古道サポーターズクラブ
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