湯の山のジビエを使った郷土鍋「僧兵鍋」を食べてみました

掲載日:2024.12.18

冬が到来し本格的な寒さに身も心も震えます。こんな時は湯の山温泉に足を伸ばし、地元で捕れたジビエを使った僧兵鍋で暖をとりませんか。美味しいものを食べて心まで温まり、温泉でゆっくりし、エネルギーを蓄え冬を乗り越えましょう。

僧兵鍋って何?

三重県の湯の山温泉に伝わる名物鍋で、戦国時代に誕生したと言われています。湯の山温泉の中心にある三嶽寺は、侵略に抗うために武装した300人余りの僧兵がいました。僧兵は雪解け水を使ったお酒で暖を取り、残った甘酒に地元の味噌を溶かして入れ、猪や鹿肉を使った鍋でスタミナをつけていました。

その僧兵鍋が歴史を超え、2015年に「湯の山温泉の僧兵鍋」として材料や味噌を定義付け、各旅館やホテルで同じ鍋ベースで食べられるようになりました。

コラム

そもそも僧兵って何?

僧兵の起源は、平安時代末期から鎌倉時代に遡ります。当時、寺は権力と財力を持ち、それを守るために武力を必要としました。僧侶の中には武術の心得がある武士出身者もおり、僧兵が誕生しました。時代が進み僧兵は政治的、軍事的な影響力を持ちました。日本一有名な僧兵といえば、武蔵坊弁慶がいます。


三嶽寺が湯の山に建てられたのは、大同二年(807)と伝えられています。その七百六十年あまりを経た永禄十一年(1568)織田信長の伊勢進攻によってこの三嶽寺も他の天台宗寺院と同じく焼き討ちにあいました。僧兵たちはそのときに勇敢に戦い、その勇姿を、今に伝える僧兵まつりが毎年湯の山温泉街で開かれます。

僧兵鍋の具材は・・

僧兵鍋の掟はこちら

一、僧兵味噌を使った鍋とすること

一、猪、鹿、鳥の肉を使ったスタミナ鍋とすること

一、山の幸を豪快に盛り込むこと

一、菰野産の野菜をふんだんに使うこと

一、甘酒と僧兵味噌で味加減を調整すること

一、好みで山芋のすりおろしを付ける

一、出汁まで食べていただくようにすること

一、食す前に武家政治に抗った僧兵に思いをはせること

一、僧兵鍋を食す時、信長の話はせぬこと

 

この掟に従い、地元の猟師が仕留めた猪や鹿、鴨肉を使い、各旅館やホテルの料理長がアイデアを出し鍋のベースとして開発された「僧兵味噌」で味付けした鍋を「僧兵鍋」と呼びます。

僧兵鍋が食べられるのはどこ?

僧兵鍋は、主に湯の山温泉にある旅館やホテルで提供されています。菰野町内の飲食店ではあまり提供されておらず、僧兵鍋を食べるなら、旅館またはホテルに宿泊して夕食として食べるのが一般的です。僧兵鍋に使われる猪肉などのジビエは、地元の猟師が仕留めるため、いつでも簡単に手に入れられるわけではありません。また新鮮なものでないと臭みが出てしまいます。一流の料理人がいる宿泊施設でないと美味しい僧兵鍋を提供することができないそうです。

ホテル湯の本の僧兵鍋

湯の本の僧兵鍋は猪のバラ肉、カモ肉、鹿肉のつみれ、きのこ類、根菜類を使います。ゴボウやニンジン、厚揚げ、しめじ、ヒラタケ、エノキを入れた後、猪肉と鹿のつみれを入れ、蓋をし、全体に火が通った後、春菊とカモ肉を入れてくれました。春菊は食感を楽しむため、カモ肉は固くなりすぎるのを避けるため、後から入れるそうです。

鹿の湯ホテルの僧兵鍋

オリジナリティーが光る鹿の湯ホテルの僧兵鍋

鹿の湯ホテルの僧兵鍋は、オリジナリティーが光ります。三重豚健康豚ロース、猪肉肩ロース、国産鶏もも肉、鹿の湯オリジナル鹿肉団子、白菜、京水菜、ささがき牛蒡、焼き豆富、大根、人参、えのきだけ、つき蒟蒻、しめじ、菰野松太郎、白葱、うどん、長芋とろろを使用。松太郎は、しゃっきりとした食感で肉厚なプレミアムきのこです。

旅館寿亭の僧兵鍋

寿亭の僧兵鍋は、プレーン、ピリ辛、マイルド、3つの味に味変できるんです。その秘密は寿亭特製ラー油をかけること。ラー油を使うのは寿亭だけのオリジナルです。

コラム

これが特製ラー油だ

寿亭特製ラー油

寿亭の武藤料理長によると、猪、鹿、カモの肉の捨ててしまう端材を使うそうです。ニンニクとショウガを入れてジビエの肉の端材を炒めて、一味と山椒も入れ、ごま油とサラダ油をブレンドして作るそう。野趣あふれる僧兵鍋にピリ辛のラー油を足し、さらにワイルドな大人の味になります。

お家でチャレンジ「僧兵鍋もどき」

僧兵味噌を買ってお家で鍋を楽しもう!

僧兵味噌は各旅館やホテル、御在所ロープウエイの売店、道の駅菰野などで1,100円で販売しています。僧兵鍋をお家でも食べたいという人は、お土産に買って帰るといいですね。

コラム

自宅で僧兵味噌を使って鍋を作ろう

ジビエはないけれど、買って帰った僧兵味噌を使い、家にあった鶏もも肉と豚こま肉、ごぼう、人参、大根、舞茸、えのきだけ、厚揚げ、長ネギなどを使って僧兵鍋もどきを作ってみました。水を720ml沸騰させ、僧兵味噌を120g入れて溶かし、ごぼうなどの根菜、きのこ、鶏もも、豚こまを淹れました。甘辛い鍋スープのおかげで美味しくいただけました。今度は酒粕も入れてみます。

僧兵鍋の詳しい情報や、各宿泊施設の温泉の紹介はレポート記事で

各宿泊施設の僧兵鍋の違いや、温泉の情報はレポート記事で紹介しています。

これを読んだら湯の山温泉に行きたくなること間違いありません。

金木犀の画像

金木犀

寒い日家は帰ってすぐにご飯が食べたい。そんな時は僧兵味噌を使って自宅で手軽に鍋料理が楽しめます。でもそれはあくまで家庭の味。やっぱり本物を食べるために湯の山温泉にいきませんか。取材では温泉に入っていないので、今度は温泉に入りに行きたいです。

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