伊勢のソウルフード、「モリスパ」、「ドライカツ」、「美鈴のぎょうざ」、「からあげ丼」を味わい尽くせ!!
伊勢市民はもちろん、伊勢の学校に通っていた人、伊勢で働く人にとってもおなじみの名物グルメといえば、通称「モリスパ」、「ドライカツ」、「美鈴のぎょうざ」、そして「からあげ丼」です。 地元民になじみ深く、ソウルフードとも言われるこれらの名物グルメを食べ歩いてみました。 学生にも優しい価格と、誰もが満足できるボリューム、心をとらえて離さないクセになるおいしさを、この機会に知ってください。
みえ旅グルメ部部員の家田美央です。
普段はフリーランスのライター、フォトグラファーとして三重県中を飛び回っています。
第二弾となる今回の記事では、伊勢の地元民とは切っても切り離せない名物グルメをご紹介します。
▼ 【伊勢のソウルフード】目次
熱々の鉄板で提供される、喫茶モリの「モリスパ」!
一軒目は、近鉄宇治山田駅から徒歩約3分にある「喫茶モリ」。
一見目立たない建物にあるこのお店ですが、休日にもなると店の外まで行列が並ぶこともあり、道行く人の目を引いています。
名物は、常連客から「モリスパ」と呼ばれるスパゲティナポリタン。
正式名称は「モリ特製スパゲティ」と言いますが、この名前で注文する人はほとんどいません。慣れたお客さんになると「スパゲティ大盛りひとつ」と、メニューも見ずに注文します。
ではでは、早速私も注文してみましょう。
厨房をのぞいてみると、スパゲティの麺はアルデンテなどどこ吹く風、茹でおきの太麺が使用されます。茹でおき麺を使うのは、特製ソースのからみやすさを考えてのことだそう。すぐに調理できることから、モリスパの提供の早さにもつながっていると感じました。
麺を多めの油で炒めたら、ケチャップベースの秘伝のソースをたっぷりとまとわせ、直火で熱せられた鉄板の上に載せます。
そしてその上から溶き卵をたっぷりととろ~り。スパゲティに卵がからみ、鉄板の上ではぐつぐつと卵が湯気を上げています。
間髪を入れずテーブルへ。卵に火が通りすぎないうちにいただきます。
濃厚な秘伝のソースのうま味とふわふわの半熟の卵が口の中で混ざり合い、どこか懐かしいながらも後引く美味しさ。麺の上に載っている赤ウインナーやグリーンピースも懐かしい味わいに一役買っています。
モリスパは並サイズで650円、大盛り(並の1.5倍)で800円と、学生さんにも優しい価格設定。
「喫茶モリ」は1970年創業。先代がこのスパゲティを食べてもらいたいがためにお店を始めたという、文字通りの看板メニューです。
現在は2代目となる濵口元紀さんがマスターを務めています。
「親子で通ってくれるお客さんが多いので、先代から受け継いだこの味を守ることを心掛けています」
その言葉通り、年齢性別を問わず来客の9割以上が注文するというモリスパ。帰省のたびに食べに来る人も多く、もはや「故郷の味」になっているんだそう。
喫茶モリの詳細情報
住所 伊勢市岩渕1-15-10
電話番号 0596-25-1729
営業時間 10:00~18:50(ラストオーダー)
定休日 月曜日、第3火曜日、臨時休業有り
公共交通機関でのアクセス
・近鉄「宇治山田駅」から徒歩約3分
車でのアクセス
・伊勢ICから車で約7分
駐車場 無
ドライカレーにルーがセット!キッチンクックの「ドライカツ」
二軒目は、近鉄宇治山田駅から喫茶モリとは反対方向に歩いて約4分にある、昔懐かしい洋食屋さん「キッチンクック」。
名物は、通称「ドライカツ」と呼ばれるドライカレーです。
このメニュー、お客さんからの呼び名は「ドライカツ」なのに、メニュー表には「カツドライカレー」と書かれています。実はこれ、マスターの坂口五次さんが書き間違えてしまったからなんだそう。
もともとドライカツは裏メニュー(その割にはお客さんの7~8割が注文していますが…)で、メニュー表に表記されていませんでしたが、数年前にメニュー表にのせるにあたり、マスターが「カツを書き忘れてはダメだ」と気にしすぎた余り、カツから書き始めてしまったんだとか。
ということで、普通に「ドライカツ」と注文してもらってOKです。
早速、私も「カツドライカレー(900円)」を注文し、オープンキッチンを見てみましょう。
まずはフライパンで豚肉と玉ねぎと卵を炒めたら、そこに白ご飯をたっぷり加え、カレー粉などで味付けし、ドライカレーを仕上げていきます。その作業と並行しながらトンカツを油で揚げたら、ドライカレーとトンカツをお皿にこんもりと盛り付けます。
一般的なドライカツカレーはここで完成するのですが、これにカレールーが付いてくるのが、このメニューの唯一無二さ。
グレイビーボートと呼ばれる銀色の器に、たっぷり一人前のカレールーが添えられて出てきます。
それではまずはドライカレーからいただきます。
ピリリと辛みのきいたドライカレーは、しゃきしゃきとした玉ねぎの食感も小気味よく、見た目よりもあっさりしていて食べやすいです。
そこにカレールーをかけてみると一気に味わいに厚みが生まれます。旨みの強いカレールーの味が加わり、スプーンを持つ手が止まりません。
このカレールー、昔ながらの洋食屋さんのカレーの作り方を踏襲しており、調理に丸3日もかける手の込んだもの。1日目は野菜や小麦粉を炒めてルーを作り、2日目はスープを取ります。そして3日目にルーとスープを合わせてから、肉と玉ねぎを煮込むそうです。
営業時間中は煮詰まりすぎないよう、湯せんで温めるという細やかな心遣いも。
トンカツはカレーに合うよう少し薄めで、サクサクの衣にカレーが良くなじみます。
キッチンクックは創業から今年で44年。
ドライカレーは創業当時より提供されていて、お客さんへのサービスとしてカレールーを付けることを始めたんだそう。いつしかそのサービスが評判を呼び、「止めるに止められなくなってしまった」と、マスターが笑いながら語ってくれました。
現在では後継ぎとなる息子の竜也さんも一緒に厨房に立ち、この味を守っています。
ドライカレー+トンカツ+カレールーというボリュームから若者の利用も多く、30年、40年と通う人もザラにいるというファンの多さも納得でした。
2021年からテイクアウトも行っています。
キッチンクックの詳細情報
住所 伊勢市岩渕2-7-29
電話番号 0596-24-5972
営業時間 11:00~15:00(ラストオーダー14:30)、17:00~23:00(ラストオーダー22:30)
定休日 水曜日
公共交通機関でのアクセス
・近鉄「宇治山田駅」から徒歩約4分
車でのアクセス
・伊勢ICから車で約6分
駐車場 8台(無料)
ムチムチの皮とたっぷりの肉あん!ぎょうざの美鈴の「餃子」
三軒目は、近鉄宮町駅から徒歩で7分ほどの場所にある「ぎょうざの美鈴」です。
店名から分かる通り、餃子専門店として昭和38年にオープン。店内はカウンター席のみで、毎日多くの来客でにぎわっています。
餃子は作り置きせず、注文が入る毎に作るので、餃子が作られる様子が見られるのは、このお店で飲食する大きな楽しみのひとつ。
小麦粉の塊を小さく切り分け、麺棒でひとつひとつ伸ばして皮を作るところから作業が行われます。キャベツや白菜がたっぷり入った肉あんを皮で包んだら、すぐにフライパンで焼き上げます。抜群のチームワークで流れるように進む手際の良さは、いつ見てもほれぼれ。
火加減を段階的に変えながら、熟練の職人がパリッと焼きあげた「焼きぎょうざ(8個500円)」が目の前に来ました。いただきます!
焼きたて熱々を頬張れば、口の中で旨みが爆発!
少し厚めの皮はむっちりとして食べ応えがあり、味わいたっぷりでふんわりな肉あんをしっかりと受け止めます。伊勢のたまり醤油をベースに、パリパリの餃子にからみやすいようにと作られた秘伝の特製タレが、餃子にさらに美味しさをプラス。
餃子と一緒におすすめなのが、大ぶりの骨付き地鶏をカラリと揚げた「からあげ(写真は小450円・大は800円)」と、口の中でご飯がほどける絶妙なにぎり加減の「おにぎり(鮭、おかか、梅の3個、480円)」。もちろんビールもあるので、お酒が好きな人はぜひどうぞ。
メニューの多くがテイクアウトもできるため、キッチンは常にフル回転。そんなキッチンの先頭に立つのが、女将の奥村美佐さん。
「口に運ぶものなので、作っているところを見ていただいて、安心してもらいたい」
創業当時から続くスタイルを守り、多くの常連客の心をとらえて離しません。
お店の斜め前にある高柳商店街入口には、生餃子と冷凍餃子を販売する製造直売店もオープン。ご家庭でもこの味をどうぞ。
ぎょうざの美鈴の詳細情報
住所 伊勢市宮町1-2-17
電話番号 0596-28-8602
営業時間 15:00~22:00(ラストオーダー)、土曜・日曜12:00~22:00(ラストオーダー)
定休日 月曜日(祝日の場合は翌日)、月1回連休有り
公共交通機関でのアクセス
・近鉄「宮町駅」から徒歩約7分
車でのアクセス
・伊勢ICから車で約10分
駐車場 2台(無料)、高柳商店街立体駐車場の駐車券有り
スパイシーなから揚げを丼に!まんぷく食堂の「からあげ丼」
ここまで3つのソウルフードを取材してきました。伊勢市にはもう一つ、伝説の「からあげ丼」がソウルフードとして有名です。
同じくみえ旅グルメ部で活動し、自身のグルメブログ「ケンチェ飯」も運営する「ケンチェラーラ」が根掘り葉掘り取材しました!こちらの記事も併せてお読みください♪
もはや「文化」と呼びたい、伊勢の名物グルメたち!
何十年にもわたって守り継がれてきた独自のスタイルを持つ、伊勢の名物グルメたち。もはや「伊勢の文化」とも呼べる、心と体に刻まれるソウルフードです。
どの名物グルメも1,000円未満なので、気軽に食べに行ける敷居の低さも魅力的でした。
自分たちの味にプライドを持つ店主と、それを支える常連客の関係性が垣間見えるところにもグッときてしまいました。