松阪観光で何する?を解決!“豪商のまち”のまち歩きコースをご紹介!
みなさんは松阪といえば何を思い浮かべますか?松阪牛?松阪もめん?御城番屋敷? 実は、松阪は三越で有名な三井家など多くの大商人「豪商」を輩出した、商業の町。 こちらのレポート記事では「まだ知らない松阪をみつけに」をテーマに松阪観光するならぜひまわっていただきたい「“豪商のまち”を感じるモデルコース」を紹介します!
記事制作 / みえ旅アンバサダー 西岡莉央
三重県在住のナレーター・声優。生まれ育った伊勢志摩を中心に三重県の魅力を発信しています♪
▼ 目次
- 松阪の豪商はどうして生まれた?
- 松阪もめんの着物がレンタルできる八幡屋さんへ
- 豪商のまち松阪 観光交流センター
- 松阪もめん手織りセンター
- 豪商ポケットパーク
- piece ピース cafe & store
- 旧小津清左衛門家
- うさぎの小屋
- 旧長谷川治郎兵衛家
- 原田二郎旧宅
- 御城番屋敷
- 本居宣長記念館・本居宣長旧宅「鈴屋」
- 10月から開催!豪商のまち松阪キャンペーン
- まとめ
松阪の豪商はどうして生まれた?
江戸時代、松阪の繁栄を支えたのは、特産品の「松阪もめん」でした。
藍色の糸で織り上げた縞模様の粋なデザインが江戸の人々の心をつかみ、大ヒット!
松阪の商人たちは、お伊勢参りにくる観光客を呼び込んだほか、江戸にもたくさんの支店を出し大きな利益を上げたそうです。
特に、三井高利をはじめとする商人たちは、この成功を基に日本一の大商人として名を馳せました。
松阪もめんの着物がレンタルできる「八幡屋」さんへ
まずはじめに行ったのは、呉服屋「八幡屋」さん。松阪もめんの着物レンタル(料金:3,000円)のサービスをされています。こちらには専用の駐車場があるので、真っ先に行かせていただきました。
豪商の風情ある街を歩くとき、松阪もめんの着物を着たら、雰囲気は最高!
洋服の上から簡単に着ることができるので、なんと最短3分で着付けが完了できます♪男性の着物もありますよ。
※撮影当時の私は妊婦です。
この辺りは松阪もめんの着物を着ていると入館料が無料になる施設もあるので、最初に行くのがオススメです!
松阪はなぜ着物の聖地に?
松阪は「松阪もめん」が有名ですが、そもそもなぜこのような布製品・織物が特産品となったのか、その理由をご存じでしょうか?
実は伊勢神宮の別宮、衣服の神様「衣服大祖」といわれる2社の機殿(はたどの)神社、神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ) と 神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)がどちらも松阪にあり、5世紀頃から現在に至るまで約1000年以上にわたり、伊勢神宮に奉納する「御布(おんぞ)」を織ってきたからなのだそうです。
毎年5月と10月に行われる「神御布祭(かんみそさい)」がその祭事です。このような松阪独特の風習により、松阪には織物技術の伝統が深く根付いたのですね。松阪もめん愛に溢れた八幡屋さんのご主人にはいろいろと教えていただき、三重の歴史や文化に改めて感銘を受けました。
次に行ったのが「豪商のまち松阪 観光交流センター」と「松阪もめん手織りセンター」。この2施設は隣同士にあるため、アクセスも良好です♪
豪商のまち松阪 観光交流センター
「豪商のまち松阪 観光交流センター」は、2019年にオープンした松阪市の観光スポットを紹介する総合観光案内所!最初に行くのにはピッタリの場所でした!
観光スポットの紹介はもちろん、松阪の特産品などお土産も買うことができます!
2階は松阪の歴史や文化を学べる展示フロアやシアターなどがあり、松阪市をより詳しく知ることができます。まち歩きをする前にここに寄れば、これからの散策の予習になって、より楽しめること間違いなし!
松阪観光をするには外せないスポットです♪
松阪もめん手織りセンター
松阪もめん手織りセンターは、様々な松阪もめんの製品が並ぶ松阪もめんの専門店。
松阪もめんと言えば、この落ち着いた藍色が特徴。決して派手ではないのですが、とても粋で素敵です。
現在は機械織がほとんどなのだそうですが、こちらでは昔ながらの手織りの技術の継承もされています。
松阪もめんの機織り体験
実際に松阪もめんの機織り体験もこちらでできちゃいます。 (要 事前予約)
1時間の体験コースから、本格的な「一日織姫体験」も!
○プチ織姫体験 1,500円(税込)
【所要時間】1時間程度(説明含む)
【体験人数】1~4人
【受付時間】9時~15時 (11×20cm程度の小物敷きを織るコースです。)
- ○一日織姫体験 5,000円(税込)
【所要時間】4~5時間程度。
【体験人数】1~2人
【受付時間】9時~15時 (1m程度の反物を織るコースです。)
予約はこちらからできますよ。
店内は松阪もめんでできたグッズがいっぱいで、どれも可愛い♪
豪商ポケットパーク
豪商ポケットパークがあるのは旧三井家の敷地、歴史や文化が色濃く残る「豪商のまち松阪」の玄関口です。
三井家といえば、松阪に生まれた大商人・三井高利(みついたかとし)の生家です。三井高利が江戸時代に日本橋に開業したのが呉服商・越後屋。現在は株式会社三越伊勢丹ホールディングスとなって、誰もが知るグローバル企業ですね。
そのご縁で、三越デパートのシンボルであるライオン像がこちらに寄贈されました。
ちなみに、三越のライオン像は、ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念塔下のライオン像がモデルとなっていて、「背中にまたがると願いが叶う」と言い伝えられています。
私はこのような像に本当に跨っていいものかわからなかったのですが、観光交流センターできいてみたら「ぜひ跨ってください!」との回答をいただけましたので、子供も大人も皆さん安心して跨っていただけますよ!
次の目的地「旧小津清左衛門家」の道中に古民家カフェを見つけたので、お腹を満たすために立ち寄りました!
piece ピース cafe & store
ここは今年で築111年になる米蔵を改装したカフェ。
手作りのパンが美味しくて、ピースランチ(900円)も大人気!
販売されている雑貨も、ベトナム・ミャンマーの輸入雑貨や、ハンドメイド雑貨、陶器などオシャレで可愛いものばかり。
壁一面の本棚にも感激!ここの本は自由に読むことができるのだそう!
スペシャルティコーヒーを飲んでゆっくりできるのいいですね。ドリンクはテイクアウトOK。
雰囲気もとても良くて、何度も行きたくなるお店だなぁと思いました♪
piece ピース cafe&storeのInstagramアカウント
旧小津清左衛門家
さて、おなかも満たされ、カフェからすぐ近く、目的地の「旧小津清左衛門家」へ。
旧小津清左衛門家は紙と木綿の商売で大きな成功を収めた松阪商人・小津清左衛門の生家。1653年(承応2年)に江戸の大伝馬町で「小津屋紙店」を創業し、その後、隣に「伊勢屋木綿店」、向かい側に「大橋屋紙店」を開業。
江戸時代中期には、紙問屋40店余りを束ねるほどの力を持ち“江戸で一番の紙問屋”に成長しました。
こちらの旧小津清左衛門家には、江戸時代の町家造りの主屋や内蔵、前蔵などが現存しており、当時の豪商の暮らしぶりを垣間見ることができます。ワクワクしながら中に入ると、外の喧騒から離れて落ち着いた静かな空間へ。一気に江戸時代にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。
外観からは想像できないほど、中はとても広かったです。土間の天井はとても高く、開放感があります。
中庭もあり、ここで写真を撮ると風情があって素敵です。雨の日は残念と思いがちですが、実は一番庭がきれいに見えるのは雨の日なんですって。取材日は雨でしたが、石が雨に濡れ、緑が映えて、本当に美しかったです。
内蔵展示室には貴重な資料が!
内蔵展示室には貴重な資料がたくさん。小津家の「久」という家印入りの暖簾もこちらで見ることができます。
『大日本資産家一覧鑑(だいにほんしさんかいちらんかがみ)』は大正時代につくられた日本の長者番付。
横綱に三井家(三越)、岩崎家(三菱)が並び、小津清左衛門、長谷川治郎兵衛、原田二郎と松阪出身者の名前も多く、当時どれだけ成功していたかがわかりますね。
次に、今年2月にオープンしたばかりの「うさぎの小屋」へ。
うさぎの小屋
築100年を超える古民家を改装したカフェで雰囲気抜群!明治時代は漢方薬を扱う薬局をしていた建物だそう。
落ち着いた雰囲気で、抹茶ぜんざいや深蒸し煎茶など、日本茶を中心とした甘味をゆったり楽しむことができて人気!また、季節ごとの特別メニューも提供されており、訪れるたびに新しい味わいを楽しめますよ。
大人の贅沢な時間を過ごせるお店で、観光の合間の休憩にオススメです!アンティークの家具や器も素敵~♪
さらに歩くとみえてきたのが、次の目的地「旧長谷川治郎兵衛家」です。
旧長谷川治郎兵衛家
先ほどの「旧小津清左衛門家」からは徒歩約5分で到着しました。
入ってみると、とにかく広い!もともと大きな邸宅であった長谷川治郎兵衛家ですが、増築を繰り返しここまで広くなったのだそう。
広大な敷地と庭園
この模型は上から長谷川邸をみた模型。
実は敷地のほとんどが庭園で、明治初年に紀州藩勢州奉行所であった部分を買い取って広大な庭園にしたのだそうです。明治維新で武士が身分を失うことになりますが、そこもすべて買い取ってしまうほど事業が成功していたということがわかります。
その庭園も含めると敷地面積は約1,420坪 の大きさがあるのだそう。庭だけでも約900坪あるとのこと!
江戸で大繁盛した商売
こちらは歌川広重の「東都大伝馬街繁栄之図」。江戸時代の大伝馬町(現在の東京・日本橋)の一角を描いた絵ですが、大伝馬町は当時、木綿問屋街として発展しており、町内70軒余りの木綿問屋のうち、伊勢国(三重県)出身者の店が6割を占めており、そのほとんどが松阪商人だったそう。
(この図には、長谷川のほかに同じ松阪出身の小津や長井のお店も書かれていますね。)
価値あるものばかりの内装
大正座敷にあるこの欄間(らんま)も上品で素敵なのですが、とても高度な手作業でつくられた幻の欄間なのです。
まるで色が違う素材を組み合わせているかのように見えるのですが、近くに寄って見てみると、全て同じ素材で作られているのがわかります。角度によって光の当たり具合で色が変わって見えるようになっているんですね。
とても価値のあるものをゆっくり見ることができて面白かったです。
本格的な抹茶もいただける
実は、こちらでは「抹茶」をいただくこともできます。注文してから点ててもらえて、本格的!
外を眺めながら 雰囲気も相まって最高の時間でした。
抹茶に合う美味しい和菓子もいただけますよ♪
(料金:500円 ※提供時間:10:00~15:45)
筍面の柱をさがそう
大座敷のお部屋には 柱がたくさんあるのですが、その中で8本が筍面という珍しい切口を持つ柱です。筍はすくすく育つことから、「成長」「繁栄」などに縁起がいいとされています。
長谷川邸にはこんなにも筍面があるということで、これも成功した要因の一つなのかも?
また、お部屋の細部には黒い珍しい木材が使われています。その木材は「黒柿」。通常、柿の木は茶色ですが、突然変異で極稀に黒く変色した柿の木ができたそうで、その木の黒い部分だけを使用した大変珍しく高価な木材なのだそうです。
現代は木材を黒く着色する技術もあると思いますが、当時は珍しいものとされていました。
庭には稲荷社まで
邸宅を出て、大きな庭園に出てみると、神社の鳥居がみえてきます。これは「稲荷社(いなりやしろ)」で、長谷川家では商売の神様を敷地内に祀っていたのだそう。
それほどまでに長谷川家の商売は成功していたということですね!すごい!
必見!紅葉も素晴らしい回遊式庭園
庭園は写真では伝わらないほど本当に広く、さすが豪商のお庭という印象を受けました。大きな池を中心に綺麗に手入れされていて、季節ごとに素晴らしい景色を見ることができます。
ご覧ください! 特に紅葉の季節は、圧巻の美しさ!
この紅葉は11月下旬から12月初旬ごろに観られるとのことです。
(確実に紅葉のタイミングで伺いたい場合は、施設に直接お問合せください。)
三重県の知る人ぞ知る紅葉スポットとして、とてもオススメです!今年の紅葉観賞はこちらに出かけてはいかがでしょうか?
原田二郎旧宅
原田二郎とはどんな人?
旧長谷川家から少し離れたこちらは、松坂城跡や御城番屋敷のある殿町に残る武家屋敷で、原田二郎の生家です。
原田二郎といえば江戸の末期に生まれ、27歳で大蔵省に就職し、31歳の若さで第七十四国立銀行(横浜銀行の前身)の頭取に就任、54歳で大阪の鴻池銀行を再建するという、松阪が生んだ有名な実業家。
様々な助成活動を行う財団法人原田積善会の創設者です。松阪市内でも学校給食の実施、病院の建設、桜の植樹運動、大学生奨学金などに財団のお金が使われています。
武士の家は商人の家とどう違う?
そんな原田二郎の生まれ育った家の中はどんな感じでしょうか?
質実剛健な武士の家の佇まいをもつ家ということで、先ほど行った旧長谷川家や旧小津家のような豪邸感はないのですが、2階にあがることができて、見晴らしもよく落ち着いた雰囲気の中、とてもゆっくりできました。2階は原田二郎が書斎として使っていたそうです。たしかに落ち着いて勉強や読書をするにはぴったりの場所だなと思いました。
近くにある御城番屋敷と一緒にぜひ訪れてみてください。
御城番屋敷
こちらは江戸時代末期に、松坂城警護のために紀州藩士が移り住んだ武家屋敷です。そのため「お城の番」という名前がついているんですね。松阪もめんの着物を着て歩くにはピッタリの場所!松阪のまち歩きには欠かせないスポットです。
本居宣長記念館・本居宣長旧宅「鈴屋」
最後に行ったのが、本居宣長記念館。松坂城跡の敷地内にあります。
本居宣長は何をした人?
本居宣長といえば、松阪の小津家に生まれた江戸時代の学者で、特に「国学」という日本の古典や文化を研究する学問で有名ですね。本業は医者だったのですが、仕事以外の時間に研究をしていました。
特に有名なのが日本最古の歴史書「古事記」を研究し、その解説書である「古事記伝」を執筆したこと。この本は、古事記を理解するための重要な資料であり、現代でも多くの研究者に参考にされています。
本居宣長は自宅の2階の書斎を「鈴屋(すずのや)」と名付けました。その理由は「柱掛鈴」というオリジナルの鈴を部屋に掛け、勉強中の気分転換に鳴らしていたからなのだそう。「鈴を集めるのが趣味」だったからと誤解されがちですが、実はそうではないのですね。宣長が勉強するといつも鈴が鳴っていたので、周囲が「鈴好きな人」と思い、鈴の贈り物が届くようになったのだとか。
どんな展示がある?
1階はわかりやすく興味を持てるような楽しい展示になっていて、日本史に興味を持ち始めたお子さんにもおすすめです!
2階はおおよそ3か月で変わる期間限定の展示をされています。
本居宣長の住んでいた「鈴屋」
本居宣長記念館に入ると、一緒に「鈴屋」に入ることができます。この建物はもともと、魚町通りの旧長谷川邸の目の前にありましたが、1909年(明治42年)に、松坂城跡に移築されました。
10月から開催!豪商のまち松阪キャンペーン
松阪では2024年10月1日(火)~12月1日(日)「まだ知らない松阪をみつけに」をテーマに、松阪を楽しむさまざまな企画が始まります!
メインイベントは今回紹介させていただいた「豪商のまち松阪」を感じるさまざまな施設などを歩き、各地に隠された謎を解いていく「謎解き宝探し」。参加無料というのも嬉しいポイント!
2回目の開催となる今回は、子供向けと大人向けの2コースが用意されています!
松阪駅観光情報センター、豪商のまち松阪 観光交流センター、松阪市文化財センター「はにわ館」のいずれかで「謎解きマップ」を受け取ったら、まちを歩きながらさまざまな謎を解いていきます。
最終問題を解き明かすことができた先着1,000名様にはクリア賞(クリアファイル)をプレゼント。
また抽選でNintendo Switch、松阪牛などの豪華賞品も当たりますよ!すごく楽しそう!
「松阪ご愛顧グルぐるスタンプラリー」は、市内対象飲食店で商品を購入してスタンプを2つ集めると、抽選で豪華賞品が当たるグルメスタンプラリー。【対象店舗:駅弁のあら竹本店 / 山作 / 茶遊膳 茶重 / 小麦香る男 / パーラーオクノ 】
さらに、参加無料の「きんてつハイキング」(2024年11月3日 日・祝)、
「豪商のまち松阪グルメツアー」(2024年10月1日~2025年3月31日まで)も開催!
詳しくは 特設サイトをチェックしてください。
まとめ
伊勢に生まれ育った私はこれまであまり「松阪」のまちを歩いてまわったことがなく、今回初めて行くところばかりでした。
松阪もめんが特産品であることはもちろん知っていましたが、なぜ松阪商人たちが日本を代表する商人(豪商)になれたのか、今回あらためて知ることができ、三重県民としても誇りに思いました。
三越の三井家が、松阪が発祥なことを知らない方も多いのではないでしょうか?実際にまちを歩けば価値ある文化財もたくさん見ることができ、素晴らしい庭園に感激すること間違いなしです。
三重県民の方にも県外の方にも、松阪の魅力をもっともっとたくさんの方に知ってほしいなと思いました。
10月からのキャンペーンも合わせて、松阪へぜひお越しください!
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