秘境の地で育つ「幻の熊野地鶏」のこだわりを徹底レポートしました!
掲載日:2019.03.19
熊野市紀和町。かつては鉱業が盛んだった緑豊かな山間の町に、「日本一おいしい地鶏」を目指して作られた地鶏があります。その名も熊野地鶏。その熊野地鶏のおいしさを自宅で手軽で味わえる商品のご紹介です。
熊野市紀和町。かつては鉱業が盛んだった緑豊かな山間の町に、「日本一おいしい地鶏」を目指して作られた地鶏があります。
その名も「熊野地鶏」。
伊勢志摩サミットの食材としても使用された三重ブランド認定品です。
今回は、その熊野地鶏を育成、販売する熊野市ふるさと振興公社 営業担当の今西さんと、飼育担当の濱口さんに熊野地鶏のおいしさの秘密を伺ってきました。
開発に10年をかけた、「幻の地鶏」
「日本一おいしい高品質地鶏をつくろう」
そんな目標のもと、三重県畜産研究所が新しい地鶏の開発に着手したのは、今から約30年前、昭和63年のこと。
10年に及ぶ試行錯誤の末にたどり着いたのは、「八木戸(やぎど)」×「伊勢赤どり」で生まれた雄と名古屋コーチンの雌を掛け合わせる三元交雑という手法でした。
多気郡明和町に生息する天然記念物の軍鶏「八木戸」の軍鶏特有の肉質の良さ、伊勢赤どりの体の大きさと脂の質、そこに名古屋コーチンの旨味と歯ごたえを乗せて生まれた熊野地鶏は、正に地鶏のサラブレッドと言えますね。
鶏にストレスをかけない環境作りを徹底
次の訪れたのが山間にある鶏舎。鶏舎担当の濱口さんからお話を伺います。
熊野地鶏の飼育における特徴は、地鶏にストレスをかけないための「平飼いの環境」と、「山奥の静かな環境」、そして「餌」とのこと。
熊野地鶏は軍鶏の血を引いているだけあり、神経質で気性が荒く、ストレスがかかると仲間同士で突き合いをはじめ、ひどい場合は死ぬ個体も出てきてしまうそう。
熊野地鶏にストレスを極力かけないために、濱口さんたちは鶏舎に入る時にも、足音を立てない様にゆっくり動くほど、細心の注意を払うそうです。
一般的に平飼いの鶏はゲージ飼いのものよりも低ストレスと言われていますが、熊野地鶏はそこから様々な工夫をこらします。
まず、平飼いの密度。JASの地鶏肉の平飼いの基準は1平米あたり10羽。それに対して熊野地鶏は1平米あたり8羽以下に徹底しています。
さらに、壁面に止まり木を設置し、鶏舎の壁を黒く塗るなど、職員さんたちの毎日の観察から、鶏が少しでもストレスなく過ごす環境を整えるために努力しているのだそうです。
また、騒音でもストレスを感じるため、鶏舎は山奥の静かな環境に建てられています。細心の注意を払った飼育で品質の良い地鶏を育てているのですね。
地元の恵みを活かしたこだわりの餌
熊野地鶏は、その餌にもこだわりがあります。
水は熊野古道・通り峠から湧き出る清らかな谷水を使用。
餌として与えられるのは、抗生物質を含まない配合飼料。そこへ、地元熊野の特産品「新姫」の果皮を混ぜているのだそうです。新姫を混ぜると毛ヅヤがよく、健康な鶏になるのだとか。
また、飼料にまぜるお米は、地元・紀和町の丸山千枚田をはじめとする、熊野地域で取れたお米を使用するというこだわり様。地元の恵みを活かした餌で鶏は育てられます。
「熊野地鶏は日本一や」
そんなこだわりをもって育てられている熊野地鶏は、現在全国の日本料理・イタリア料理・フランス料理の名店や、一流料理人から高い評価を得ています。
テレビにも出演する著名な日本料理人からは、「熊野地鶏は日本一や」という評価を得るまでに。
その味の評価は「もっちりと肉厚で、肉の繊維一つ一つがしっかりとした主張で語りかけてくる。と同時に溢れ出す、極上の旨味が凝縮された肉汁。噛むたびに訪れる旨味に、味覚がすっかり酔いしれる。」と言われています。
脂がしっかりのっているのに、肉の味を邪魔する臭みはほとんどないので、鶏嫌いの方でも食べられるとも言われています。
年間25,000羽を出荷
次に、鶏舎より車で10分程度走ったところにある加工場へ。
この加工場では、年間25,000羽がさばかれ、首都圏、大阪、名古屋、三重県内などへ出荷されているそうです。
受注が入った数のみをさばいて処理するため、地鶏は常に新鮮な状態だそうです。
雄の方が大きく、かみごたえがある肉質で、雌の方がやや小ぶりで、やわらかくて脂が多いのが特徴だそうです。
地元産柑橘のポン酢付き
今回、この熊野地鶏とセットになってお届けされるのが、地元特産品の「新姫」を使用した「新姫ポン酢しょうゆ」。
新姫は、熊野市新鹿町で偶然発見された新しい柑橘で、日本古来の野生種ではなく、タチバナと温州ミカンが自然交配した交雑品種ではないかと言われています。平成9年に新しい香酸柑橘(酸味が強く、生食ではなくジュースや調味料に使われる柑橘)として品種登録されました。
果実は直径3cm前後で、小ぶりな柑橘ですが、すだちやシークワーサーのように酸味が強く、独特で爽やかな香りに特徴があります。
その希少な果実より絞った果汁と穀物酢を合わせて、かつおと昆布の旨みを加えまろやかに仕上げたしょうゆベースのぽん酢です。鍋物にはもちろん、揚げ物や焼肉に、また野菜との相性も良くサラダにもおすすめです。
鶏肉本来の旨味と歯ごたえを楽しんで
最後に、今西さんと濱口さんに熊野地鶏の美味しい食べかたを聴いてみました。
部位によってオススメの食べ方は異なるそうですが、ささみだったらタタキ。地鶏の歯ごたえを楽しむには、チキンステーキなど素材の味を活かした料理がおすすめだそうです。
ポン酢を使う場合は、冬はやはり鍋に、夏は塩焼きの地鶏にポン酢おろしをかけて楽しんで欲しいとのことでした。
試食は塩焼きにしていただきましたが、お肉の歯ごたえと旨味が格別!歯ごたえがあっても噛み疲れはしない食感が絶品でした。
熊野市ふるさと振興公社の方が、熊野市紀和町の美しい自然の中で、孫のように愛情を込めて大事に育てた熊野地鶏、ぜひ美味しさを感じて欲しいです。