「松阪牛」の美味しさの理由は霜降りにあり!味の特徴や生産体制、スペシャルグレード「特産松阪牛」まで松阪牛を大解明!
掲載日:2022.10.12
日本三大和牛のひとつであり、国内外に広く知れ渡る三重のブランド牛「松阪牛」。赤身の間にきめ細かくサシが入り込んだ霜降り肉は、ほどけるような柔らかさととろける脂の甘みで「肉の芸術品」とも称されています。そんな松阪牛について、定義や味の特徴、生産体制、ブランドを保証するシステム、そして希少な最高級ランクまでご紹介します!
松阪牛といえば、どんなイメージが思い浮かぶでしょうか?
ブランド牛で高級品というところまではなんだか想像がつきますが、そもそも、松阪牛とはどんな牛のことをいうのでしょうか?
松阪牛ってどんな牛?
実は、肉牛が松阪牛として認められるにあたっては、いくつかの条件が定められているんです!
松阪牛の定義
・黒毛和種の未経産の雌牛であること。
・松阪牛の導入から出荷までのデータを管理する独自のトレーサビリティシステムである松阪牛個体識別管理システムに登録されていること。
・松阪牛生産区域(旧22市町村:現在の松阪市、明和町、多気町、玉城町、大台町の全域と津市、伊勢市、大紀町の一部地域)での肥育期間が最長・最終であること。
・生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、導入後の移動は生産区域内に限る。
以上の条件をすべて満たし出荷されたものが松阪牛と定められています。
では松阪牛とは、他の牛肉に比べ、味や食感にどういった特徴があるのでしょうか?
その答えを探りに、松阪市内外で松阪牛の精肉販売やレストランを展開する「松阪まるよし」の常務である亀田さんにお話をお伺いしました!
松阪牛の味の特徴
ここで注目すべきは、松阪牛の見た目の最大の特徴である“霜降り”。
肉全体に細かく入ったサシ=脂身にこそ、松阪牛の美味しさの秘密があるんです!
①美容や健康に良いとされる不飽和脂肪酸(オレイン酸)が豊富!
中性脂肪やコレステロール値を調整し、血液がサラサラになる働きがあるとされている不飽和脂肪酸。
松阪牛の脂にはこの不飽和脂肪酸、その中でもオレイン酸が多く含まれています。
不飽和脂肪酸は他にも魚やオリーブオイルなどに多く含まれ、サラリとしていて体に優しい油といわれています。
そのため、脂身が重くなくペロリと食べられてしまう他、罪悪感なく食べられるのもうれしいですね。
②脂肪の融点が低く脂が溶けやすい!
融点とは固体が溶ける温度のこと。
一般的な牛肉の脂の融点は25.9℃ですが、松阪牛ではなんと17℃前後!
人の手の温度でもすぐに溶けてしまうほど繊細で、口に入れた時のとろけるような食感はこのためです。
③焼いたときの香りが違う!
松阪牛は加熱した時に、「和牛香」という独特の甘く香ばしい香りが広がります。
和牛香のココナッツにも似た上品な香りは、松阪牛特有のもの。
ジュワッと溶け出す脂とともに香りが広がり、ますます食欲が湧いてきます!
つまりは、細かくサシが入った霜降り肉には良質な脂が豊富に乗っているため、より一層甘い香りやとろけるような食感が際立つんです!
美味しい松阪牛を育てる農家
では、松阪牛の肉をそうした極上の霜降り肉にするためには、どんな工夫がされているのでしょうか?
県内の松阪牛生産地域内にある肥育農家では、牛の体調管理やストレス解消のためにさまざまな肥育方法を実施しています。
牛舎を清潔、快適に保つことはもちろん、念入りなブラッシングやマッサージでスキンシップを図ったり、ストレス緩和のために散歩をさせたりと、各農家がそれぞれの方法で、手塩にかけて松阪牛を肥育しています。
中には、牛の食欲増進のためにビールを飲ませることもあるんだそうです!
牛一頭一頭に番号がついている?
こうして大切に肥育され、食べる人の元へと届けられる松阪牛。
一頭の松阪牛がいつ生まれ、どこでどのくらい肥育されたのか、いつ出荷されたのかなどを一連のデータとして知ることができるのが、松阪牛の定義のひとつにある「松阪牛個体識別管理システム」です。
松阪牛には、牛一頭ずつに個体識別番号がふられており、番号を調べることでその牛が育ってきた経歴を見ることができるんです!
では、私たちが個体識別番号を知るにはどうすればよいのでしょうか?
松阪牛の個体識別番号や、よくA4・A5といわれるランクなどの情報を表しているのが、こちらの「松阪牛証明書」です。
まるよしでは、精肉を購入したお客様に対して、購入した肉の「松阪牛証明書」または「個体識別番号の情報」を渡しているほか、店頭に並ぶ商品にも個体識別番号が表示されています。
「こうした仕組みによって、お客様が安心して松阪牛を食べたり、松阪牛に興味を持ってもらえるきっかけになる」と亀田さん。
確かな品質を理解して噛み締める松阪牛は、また格別の美味しさですね。
松阪牛全体の約4%。希少な「特産松阪牛」って?
「松阪牛証明書」にも示されているようにA4・A5ランクなどが良質なお肉であることはわかりますが、そんな松阪牛の中でもさらに厳しい定義が設けられ、松阪牛の最高傑作といわれるのが「特産松阪牛」です。
特産松阪牛の定義
松阪牛の中でも、兵庫県産の子牛を導入し松阪牛生産区域で900日以上肥育した牛であること。
つまり、肥育期間が通常の松阪牛よりさらに長いと言えます。
「肥育期間をさらに伸ばすことは、生きたまま熟成肉を作るようなこと」と亀田さん。
長くゆっくり育てることで赤身の旨味が凝縮し、脂の融点もさらに低くなるんだそう。
肉眼では見えないほどのきめ細やかなサシが入り、極上の霜降り肉に。
コクが増すのはもちろん、口に入れた瞬間とろけるような舌触りなんだとか…!
ただ、通常の松阪牛よりも肥育にコストやリスクがかかる「特産松阪牛」を生産する農家は少なく、安定して仕入れることは難しいといいます。
貴重な「特産松阪牛」に巡り合えた際は、ぜひ味わってみたいですね。
亀田さんに近年のコロナ禍による影響を聞くと、観光客が大幅に減少したり、世の中が外食を控える傾向の中で、松阪牛を扱う店舗や農家は非常に苦労されたそうです。
まるよしでも、需要のあるテイクアウト用のお弁当商品を増やしたり、売れ残ることで起きる食品ロスを防ぐために大幅値下げをするなど、さまざまな工夫を凝らし、現在はまた少しずつ客足が戻ってきたといいます。
お肉本来の旨味や食感が味わえるステーキや、溶け出した脂の旨味が最大限に楽しめるすき焼き、しゃぶしゃぶなど、さまざまな料理で楽しめる松阪牛。
次に松阪牛を味わう時には、美しい霜降りや、松阪牛が私たちの元へ届くまでの流れにも注目してみてくださいね!
松阪牛霜降り肉の魅力について教えてくれたお店はこちら!
松阪まるよし(鎌田本店)
0598-51-2240
11:00~20:30L.O.
※営業時間は変更の場合があります。
水曜(祝日の場合営業、翌日休)
無料(一般車50台、バス6台)
JR・近鉄松阪駅から徒歩約10分
松阪インターチェンジから約15分
松阪牛が食べられるお店はこちらでチェック!
「お肉のまち松阪」キャンペーンサイト
記事制作:MSLP & 千巻印刷産業株式会社