神宮の営み、神宮の森は古来から続く日本の原風景 中野 晴生さん(伊勢志摩国立公園指定70周年インタビュー)
掲載日:2016.11.26
インタビュー「私が感じる伊勢志摩国立公園の魅力」
伊勢志摩国立公園は海あり、神宮の森あり、そしてそこに根ざした人々の豊かな暮らしがあります。そうした様々な魅力を、様々な角度から語っていただきました。
今回は写真家 中野 晴生(なかの・はるお)さんにお話しを伺います。
(記事協力 : <a href="http://www.isenp.co.jp/" target="_blank">伊勢新聞社</a>)
インタビュー「私が感じる伊勢志摩国立公園の魅力」
伊勢志摩国立公園は海あり、神宮の森あり、そしてそこに根ざした人々の豊かな暮らしがあります。そうした様々な魅力を、様々な角度から語っていただきました。
今回は写真家 中野 晴生(なかの・はるお)さんにお話しを伺います。
(記事協力 : 伊勢新聞社)
伊勢志摩国立公園は海あり、神宮の森あり、そしてそこに根ざした人々の豊かな暮らしがあります。そうした様々な魅力を、様々な角度から語っていただきました。
今回は写真家 中野 晴生(なかの・はるお)さんにお話しを伺います。
(記事協力 : 伊勢新聞社)
■いつまでも身体が覚えている神宮の森
僕の家は、おじいちゃんの代から伊勢神宮に神饌を届ける鮮魚商でした。神宮で日別朝夕大御饌祭という祭が毎日行われてますが、そのために毎朝鯛などを持って行ってまして、僕も小学3年生の時からお手伝いで行ってました。毎朝神宮に行ってたので、神宮の森の、朝の空気を吸って育ってきた感じですね。
19歳で海外に出て5年間ぐらい世界を旅していたんですけど、日本に帰ってきてまず京都の嵐山に行くことにしたんです。電車で嵐山に向かう途中、桂駅で乗り換えたのですが、駅を降りた時、5月の萌えるような緑が目に入ってきたんです。それを見てたら涙がボロボロ出てきたんです。
その時は何が何だか分かりませんでしたけど、後で振り返ると、小さい時育ってきた神宮の森の緑を身体が覚えていて、あの時急に思い出して身体が共鳴したんだ、と気づいたんです。
僕の家は、おじいちゃんの代から伊勢神宮に神饌を届ける鮮魚商でした。神宮で日別朝夕大御饌祭という祭が毎日行われてますが、そのために毎朝鯛などを持って行ってまして、僕も小学3年生の時からお手伝いで行ってました。毎朝神宮に行ってたので、神宮の森の、朝の空気を吸って育ってきた感じですね。
19歳で海外に出て5年間ぐらい世界を旅していたんですけど、日本に帰ってきてまず京都の嵐山に行くことにしたんです。電車で嵐山に向かう途中、桂駅で乗り換えたのですが、駅を降りた時、5月の萌えるような緑が目に入ってきたんです。それを見てたら涙がボロボロ出てきたんです。
その時は何が何だか分かりませんでしたけど、後で振り返ると、小さい時育ってきた神宮の森の緑を身体が覚えていて、あの時急に思い出して身体が共鳴したんだ、と気づいたんです。
■神宮の森は日本の原風景
伊勢神宮をはじめ、仕事で全国の神社へ写真撮影に訪れましたが、神宮のようにこれだけ大きな森を持ってるところはありません。
神宮の宮域林に入って写真を撮ることも多いですが、森は手を加えすぎてもいけないし、手を加えなくてもいけない。神宮営林部の方が手入れをしっかりとされてるので、素敵な森が、日本の原風景が維持されている。
その美しく大きい森が、志摩の豊かな海を育てているんじゃないでしょうか。神宮の森に降った雨が五十鈴川に流れて、神路川も通って志摩に抜けて豊饒の海を育てて、おいしいものがいっぱい捕れる海を育てている。
伊勢神宮をはじめ、仕事で全国の神社へ写真撮影に訪れましたが、神宮のようにこれだけ大きな森を持ってるところはありません。
神宮の宮域林に入って写真を撮ることも多いですが、森は手を加えすぎてもいけないし、手を加えなくてもいけない。神宮営林部の方が手入れをしっかりとされてるので、素敵な森が、日本の原風景が維持されている。
その美しく大きい森が、志摩の豊かな海を育てているんじゃないでしょうか。神宮の森に降った雨が五十鈴川に流れて、神路川も通って志摩に抜けて豊饒の海を育てて、おいしいものがいっぱい捕れる海を育てている。
■神宮から学ぶこと
稲を神様からいただいて、それを植えて大切に育てて「今年もおいしいお米が採れました、神様ありがとうございました」って捧げるのが神嘗祭ですね。稲を植えて神に捧げるまでが神宮の一年。その同じことを2000年間変わらずに続けてこられた。それが美しい森を守り、そこから湧き出る美しい水、川を守り、豊かな稲田を、豊かな海を守ってきた。昔からのことに忠実に、やりすぎず、やり足りないこともなく。アナログなやり方かもしれませんが、そういう一つの規範があるっていうことに、現代の私たちも学ぶことは多いんだろうな、と思います。
稲を神様からいただいて、それを植えて大切に育てて「今年もおいしいお米が採れました、神様ありがとうございました」って捧げるのが神嘗祭ですね。稲を植えて神に捧げるまでが神宮の一年。その同じことを2000年間変わらずに続けてこられた。それが美しい森を守り、そこから湧き出る美しい水、川を守り、豊かな稲田を、豊かな海を守ってきた。昔からのことに忠実に、やりすぎず、やり足りないこともなく。アナログなやり方かもしれませんが、そういう一つの規範があるっていうことに、現代の私たちも学ぶことは多いんだろうな、と思います。
写真家 中野 晴生(なかの・はるお)さん
プロフィル
伊勢市生まれ。大学受験失敗を機に国内の旅に出る。のち大阪写真専門学校に入学。アフリカ、ヨーロッパなどで海外取材を経て、『週刊新潮』特派カメラマンに。平成9年から3年間同誌で「湖沼の伝説」を連載。平成18年には単行本『伊勢神宮ひとり歩き』刊行。伊勢神宮をはじめ全国の神社を訪ね、写真撮影を手がける。
※この記事は伊勢新聞社 伊勢志摩国立公園指定70周年特集号に掲載されたものを転載しています。
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※掲載されている内容は2016年11月の情報となります
プロフィル
伊勢市生まれ。大学受験失敗を機に国内の旅に出る。のち大阪写真専門学校に入学。アフリカ、ヨーロッパなどで海外取材を経て、『週刊新潮』特派カメラマンに。平成9年から3年間同誌で「湖沼の伝説」を連載。平成18年には単行本『伊勢神宮ひとり歩き』刊行。伊勢神宮をはじめ全国の神社を訪ね、写真撮影を手がける。
※この記事は伊勢新聞社 伊勢志摩国立公園指定70周年特集号に掲載されたものを転載しています。
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