雰囲気ある石畳と数多くの観音様が見守る古道を紹介【熊野古道を歩いてみよう③】
三重県が誇る世界遺産『熊野古道』。 その熊野古道の近くに住み、歩き慣れた筆者が【熊野古道伊勢路】の各スポットを紹介していくレポートの第三弾。 今回紹介するのは、歴史的な巡礼路として、観音石像が立ち並ぶ風景が残る『観音道』と、竹林が特徴の美しい道が残る『大吹峠』の二つをわかりやすく解説していきます。 また、その近辺にあるおすすめスポットも紹介。 熊野古道、どこを歩こうかなと考えている方の参考になればと思います。
観音道と大吹峠の見どころは?
熊野古道の観音道ルート、そして大吹峠に通ずるルートはどちらも歴史や文化を継承した趣(おもむき)のある古道となっています。
観音道の特徴
観音道は、泊観音(正式名・比音山 清水寺)跡地へと向かう参道として江戸時代の頃から利用されてきました。
観音信仰が全国に広まっていった当時の流れを受け、この道の道中に観音像やお地蔵さまを安置するようになり、ここを訪れた旅人はこれらの石仏に祈りを捧げながら歩きました。
そんな観音道は、この地域に住んでいる人たちによって守られてきた大切な道でもあります。
大吹峠の特徴
熊野古道の本線を通るルートとして波田須〜大泊をつなぐ道となっています。
大吹峠の特徴は、美しい石畳の続く道を歩けるところにあり、「熊野古道らしさ」を味わうにはおすすめの道でもあります。
道自体もそれほど急な勾配もなく歩きやすいと、今回歩いてみて私は感じました(^ ^)
観音道と大吹峠を結ぶ「大観猪垣道」
観音道と大吹峠、この二つの道を繋げるルートとしてこの大観猪垣道があります。
(※出典元・熊野古道伊勢路)
この道は、古道の伝承を頼りにしながら地元の方達が復興していったルートで、道沿いに猪避けの“猪垣”が延々と続くという特徴があります。
- 《参考までに》
- この二つのルートを繋げて歩くことができるという理由から今回一緒に紹介させていただきましたが、「少し道が荒れている」「歩いててわかりにくい箇所があった」といったことから、観音道と大吹峠別々に歩かれたほうがよいかもしれません。
観音道、大吹峠は歩きやすい?
ハイキングやウォーキングを始めた人が気になるところとして、「歩くのが大変じゃないだろうか…」というところではないでしょうか?
今回観音道と大吹峠の両方を実際に歩いてきた私の感想は、以前にもお伝えしたことのある三段階評価であらわした場合、観音道は『★★(二つ星)』、大吹峠は『★(一つ星)』となります。
- 〜メモ〜
- ★(一つ星) →距離も短く、道もそれほど勾配はない
- ★★(二つ星) →3キロほどの距離で、少し勾配がある
- ★★★(三つ星)→5キロ以上の長い距離で、歩きごたえがある
歩きやすい・歩きにくいの感覚は人それぞれ違うというのは前提になりますので参考程度に思ってもらえればと思います。
TAKA この評価は観音道と大吹峠を別々に歩いた場合なのでご注意を。
ルート紹介
それでは今回のルートを解説していきたいと思います。
なお、観音道、大吹峠のルートおよび地図において、[三重県地域連携・交通部、南部地域振興局 東紀州振興課]から発信されている『熊野古道伊勢路』に掲載されている資料を参考にさせていただきました。
まず、今回紹介する『観音道』『大吹峠』のルートへ行くための手段について、現在「熊野古道アクセスバス」が期間限定で運行されています。
令和6年10月26日(土)から令和7年2月2日(日)までの、土日祝の運行とはなりますが、
JR特急「南紀」の到着時刻に合わせて運行しており、紀伊長島駅、尾鷲駅、熊野市駅から峠へのアクセスに便利です。
TAKA ラッピングバスが目を惹きますね♪
それではルートの解説になります。
観音道ルートを橙色で、大吹峠ルートを黄色で記しました(紫色は大観猪垣道ルートとなります)
今回のルート紹介では、観音道ルートの登山口(写真②の地点)からスタートし、橙色〜紫色のルートを通って大吹峠へ。
大吹峠から写真左下へ南下していくルートを辿っていきます。
TAKA ②地点の登山口がこちらになります。
『観音道』という名前のとおり、道中には写真のように観音様がところどころに祀られていました。
昔の人は観音様に何を願ったのでしょうか?
苔むした石畳の道をすすむこと約1時間ほどで、清水寺(泊観音)跡地にたどり着くことができました。
多少の勾配はあるものの、トレッキング感覚で自然を感じながら歩くことができるルートだと思いました。
観音道から大吹峠への道は歩き慣れた人のみの道。
ここで元来た道を引き返すのが、あまり歩きなれていない方にはいいのかなというのが個人的な意見です。
ただ私はよく歩いているおかげもあり(笑)、せっかくなのでこの清水寺(泊観音)跡地から大吹峠へと抜けるルートを進んでみることにしました。
- 〜注意点として〜
- あらためてお伝えしますが、大吹峠までの道は少しわかりにくくなっていますので、歩き慣れていない方は控えていただくのをおすすめします。
この大観猪垣道の特徴として
- 熊野灘が見えるビューポイントがある
- 昔の人が猪よけで使ったと思われる猪垣が残っている
というのがあり、より“熊野古道らしさ”を味わえる道だと今回歩いてみて思いました(あくまで個人的な意見です)
30分ほど進むと大吹峠に到着します。
ここから大泊(おおどまり)方面へは石畳の残った古道を進んでいくことに。
海沿いの道に出て、左手に海を眺めつつ歩いていけばバス停(大吹峠口)に到着しますが、バスの本数が限られているため事前に調べておくことをおすすめします。
以上が、大吹峠を含めた観音道のルートとなります。
おすすめの周辺スポットを紹介
観音道周辺にある、私がおすすめしたいスポットを紹介します。
鬼ヶ城センター
名前からして興味を引くコチラのお店。
熊野の特産品や工芸品の販売、レストランではこの地域の名物を楽しむことができます。
“鬼ヶ城”という名前のインパクトが大きいと思いますが、これは海岸の岩が荒波などで削られてできた奇岩群のことを言い、世界遺産にも登録されたこの奇岩の光景は見てみる価値ありですよ。
詳細情報
おわりに
今回は熊野古道伊勢路の観音信仰に深く結びついた歴史的な『観音道』と、情緒ある風景が広がる『大吹峠』の特徴とルートを紹介しました。
どちらも熊野古道らしさを感じられる道であるのと、距離も長くなく歩きやすいので初心者の方にもおすすめです。
三重県の自然を楽しむ方法のひとつとして、ぜひ歩いてみてもらえればと思います。
以下では「風伝峠」や「始神峠」についても紹介しています。こちらもチェックしてみてください!
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