片田稲荷神社の絵天井が圧巻!朱い鳥居と青い海が調和する神社をご紹介
掲載日:2017.12.25
志摩市の海沿いに佇む片田稲荷神社は、絵天井がとても綺麗。朱色の鳥居が連なる様子がインスタ映えすると最近話題になっているので、詳しくご紹介します。
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400年近く前に住民の手によってつくられ、現在も地域の人々により丁寧に保存されています。鳥居の朱色が鮮やかで美しい神社の魅力は、その外観だけではありません。海上安全のご利益、芸術作品、手づくりの温かさ、知ればきっと好きになる片田稲荷神社について紹介します。
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魚や真珠など、漁業で栄えたことにより、漁師さんたちもたくさんお参りするようになったのだそう。今は石垣に建て替えられているところが、昔は防風林の松の植わった高台になっていて、漁師さんたちはその日の海の状態を見たといいます。
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まずは、本殿のお参りから。お稲荷さんなので、きりっとした狐の像が迎えてくれます。二礼、二拍手、一礼。
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絵師、野村訥斎が病床に伏した妻を名医に診せるためにこの地区を訪れ、弟子たちとともに描いて奉納したのがこのいくつもの絵なのだそう。
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数百年の時を経てもなお、人の心を惹きつける美しい色味は圧巻。
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福々しい人物画もあります。七福神の布袋さんでしょうか。
なお、絵天井を鑑賞したいときには、敷地内の社務所を訪ねて、管理を担当している方にひと声かけてみましょう。片田稲荷神社には常駐する宮司さんはみえませんが、地域の方々がおよそ10年ずつ交代しながら担当して、神社の整備や維持管理を続けています。
社務所が無人の場合、そこに書かれた電話番号に連絡すると来てくださるそうです。
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こんなふうにたくさん獲れることもなくなった現在も、漁師さんや海の仕事をする人々は海上安全を願い、今も変わらずお参りにみえるそうです。
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ウミガメの背中に乗った浦島太郎です。表情が凛々しい!
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青空によく映えるシルエットが、まるで絵本の1ページのようですね。海の方を向かずに、村の方を向いて置かれているのは、村を見守ってくれているからではないかとも言われています。
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このシーンは浦島太郎を竜宮城に迎え入れたときなのでしょうか。
それとも、見送ろうとしているときなのでしょうか。
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本殿の向かって左側に今も寄り添うように残されています。
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漁師さんたちがその日の海の状態を確認するために登っていた「日和山(ひよりやま)」の上にあります。現在は石垣が積み上げられ、階段になっているので登りやすいです。ここからの見晴らしは素晴らしい!大漁神さんにお参りしてから、しばらくこの場所で海を見ながらぼーっとしていました。静かで、海は綺麗で、なんだか別世界に行ったみたいな時間でした。
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もともとは地区内の方々の持ち物だった狐たちが奉納されているのだそう。今にも動きだしそうな何対もの狐たちに見入ってしまいます。
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小さな大きさの祠です。木漏れ日がかかり、幻想的な雰囲気です
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これまでにどれだけの人々が、ここから大漁や安全を祈ったのでしょう。戦前には海外へ渡る人が多い地域だったという片田地区は「アメリカ村」と呼ばれていた時代がありました。海の向こうを夢見る人、見送る人、帰りを待つ人、それぞれに思いを馳せると、なんだか胸にぐっとくるものがあります。
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とても綺麗で不思議な光景です。海沿いに佇む片田稲荷神社は、小さくて美しく、人の温かみを感じる歴史深い神社でした。そっと入ると、そこには芸術性溢れる空間が広がっています。お参りの後、カメラを構えてシャッターを切れば、きっと素敵な思い出の1枚を残せます。
伊勢から志摩へ、その先の片田まで足を伸ばして、海と親和するこの神社に来てみませんか?
【片田稲荷神社】
住所 三重県志摩市志摩町片田64
公式サイト http://www.ohyamanet.com/~katadainari/index0.htm
アクセス
鵜方から国道260号を南下し、志摩町へ。所要時間およそ1時間。
山道が不安な方は、伊勢IC通過後もそのまま第二伊勢道路を経由し、白木ICへ。
所要時間およそ1時間ですが、伊勢道路を利用した場合よりも少し長くなる可能性があります。
※大きな駐車場がなく、神社の入り口までは細い道路を通りますので、運転にはお気をつけください。
●公共交通機関の場合近鉄鳥羽線・志摩線の鵜方駅から、三重交通バスの「御座行き」でおよそ30分。
「片田稲荷前」から歩いてすぐ