東海道関宿を散策。江戸の宿場町をたどる観光コースを紹介します
掲載日:2022.09.29
三重県亀山市の関宿は東海道五十三次の江戸から数えて47番目の宿場町。江戸の風情が今も残る関宿で歴史を学びながらグルメも楽しむ観光モデルコースを紹介します。
記事制作 / みえ旅カメラ部 ふがまるちゃん
▼ 目次
東海道関宿とは?
関宿(せきじゅく)があるのは三重県北中部に位置する亀山市。
江戸時代に整備された53ある宿場のうち、東海道五十三次の江戸から数えて47番目がこの「関宿」で、東海道関宿とも呼ばれています。
参勤交代や、お伊勢参りの人々で賑わったこの宿場町は、昭和59年に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定され、江戸〜明治の建物が今も大事に保存されています。
そんな関宿での楽しみ方は様々。当時の旅籠屋を見学したり、古民家の飲食店で美味しいグルメを食べたり、着物で街歩きをするロケーションにもピッタリ♪
この記事ではノスタルジーあふれる関宿をたっぷり楽しめる観光モデルコースを紹介します。
江戸の歴史をたどりながらおしゃれなカフェでグルメを満喫する旅をしてみませんか?
観光モデルコース
このモデルコースは、旅籠屋や歴史資料館を見学し、関宿の歴史に触れながら最新のグルメスポットを巡ります。
所要時間は3〜4時間ほどで、着物や浴衣で街歩きを楽しめるフォトスポットも紹介します。
写真の浴衣モデルは三重の文化を愛する会(三重LCA)の皆様です♪
観光駐車場
観光駐車場(無料)に車を停めて、街歩きスタート!
ここにはトイレもあるので安心です。
3分ほど歩くと、江戸〜明治の建物が立ち並ぶ旧東海道へアクセスできます。
観光駐車場について
関の山車会館
最初に訪れたのは「関の山車(やま)会館」。駐車場から徒歩8分ほどの距離にあります。
江戸時代から続く伝統行事「関宿祇園夏祭り」の歴史や文化を学べる施設で、2019年7月6日にオープンしました。
敷地内には主屋、離れ、土蔵、山車収蔵展示棟の4棟の建物があり、山車収蔵展示棟にはお祭りのときに披露される「関の山車」を間近で鑑賞できるんです♪
こちらが「関の山車」を見学した様子で、あまりの大きさに圧倒されました。スマホやカメラでの撮影OKだったので、記念に1枚パシャリ♪
江戸時代には16台あったとされる山車は現在4台で、亀山市の民俗文化財に指定されています。
お祭りの夜は山車が町内を練り歩き、山車が何度も回転する「舞台回し」は圧巻のパフォーマンスです。
山車収蔵展示棟でお祭りの歴史を学んだところで、次は離れに向かいます。
ここは関宿を訪れる人の休憩の場・関宿に暮らす人の交流の場となっており、大正10年頃の町家が復元された建物です。
取材時は残暑が厳しい日でしたが、日陰の縁側に座ると涼しさを感じられました。
昔懐かしい雰囲気に浸りながら、まったりと過ごせたのも良かったです。
関の山車会館
0595-96-1103
入館料 関の山車会館単独入館料
大人 300円(250円)
学生・生徒・児童 200円(150円)
3館共通入館料(関宿旅籠玉屋歴史資料館・関まちなみ資料館・関の山車会館)
大人 500円(400円)
学生・生徒・児童 300円(200円)
※( )内は30名以上の団体料金
午前9時~午後4時30分
月曜日(月曜日が祝日または振替休日にあたるときはその翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
関宿観光駐車場(無料)
JR関駅から徒歩約6分
関まちなみ資料館
続いて訪れたのは「関まちなみ資料館」。関の山車会館から徒歩2分ほどの距離にあり、江戸時代末期に建てられた町屋建築のひとつです。
ここでは当時の暮らしを伺える景観が保存されており、建築の間取りや内装、展示されている家具や歴史資料から江戸時代の庶民の生活を知ることができます。
中に入ってすぐ、今では珍しい箱階段が展示されていました。この階段はタンスのような収納スペースもあり、デッドスペースを有効活用した工夫を感じられます。
箱階段は実際に登ることができ、2階の資料室へアクセスできますよ。
こちらは、土蔵の2階です。
ここでは関宿の街並みを年代ごとに撮影したパノラマ写真が展示されており、まちなみ保存事業の経過と実績を知ることができます。
最も古い写真は昭和59年に撮影されたもので、国の重要伝統的建造物群保存地区の認定を受けた年でした。
そこから10年が過ぎた平成9年、20年を過ぎた平成19年のパノラマ写真があり、昔の建物が当時の姿のまま保存されていることに気付ける展示内容となっています。
令和になった今でも保存されている建物が多数ありますので、このパノラマ写真に映っている建物がどこにあるのか探してみるのも楽しみ方のひとつです。
関まちなみ資料館
0595-96-2404
関宿旅籠玉屋歴史資料館と共通
大人 300円(250円)
学生・生徒・児童 200円(150円)
3館共通入館料(関宿旅籠玉屋歴史資料館・関まちなみ資料館・関の山会館)
大人 500円(400円)
学生・生徒・児童 300円(200円)
※( )内は30名以上の団体料金
9:00~16:30
月曜日(祝日・振替休日の場合翌日) 12/28-1/4休
関宿観光駐車場に駐車してください(徒歩約15分)
JR関駅から徒歩約10分
名阪国道関ICから約10分
古民家カフェ・レストラン「エン」
街歩きを開始して1時間ほど経ち、お昼の時間となりました。
小休止もかねて、関まちなみ資料館のすぐ近くにある古民家カフェ・レストラン「エン」でランチとしましょう♪
2021年11月にオープンしたばかりのお店ということで、関宿の最新グルメを今からレポートします。
まずは店内の様子から。町家の懐かしい雰囲気も感じられる和モダンな内装がとってもオシャレ♪
席の種類はカウンター席と窓際のテーブル席、掘りごたつの個室があり、ジャズのBGMが流れる落ち着いた空間です。
「エン」では石窯を使った料理を楽しむことができ、石窯ピザや石窯焼き野菜のカレーのほか、コーヒーやスイーツメニューも充実しています。
石窯はカウンター席のすぐ近くにあるので、ピザを焼く様子を間近で見られます。そのため、ピザの香ばしい香りが店内に漂っていました。
ランチセットには石窯焼き野菜のカレーランチが3種類と、どんぐり粉の自家製石窯ピザが3種類あり、味付けや具材の種類が異なる内容になっています。
今回の取材ではカレーとピザのランチセットを1種類ずつ注文♫
こちらが石窯焼き野菜のカレーランチの1つ「秘密のスパイシートマトカレー(¥1,900)」。
色とりどりの石窯焼き野菜がたっぷり入っており、カレーのスパイシーな香りが食欲を刺激します。
このランチセットには人参と紫キャベツのラベ、デザート、コーヒーまたは紅茶が付きますよ。
気になるお味は・・・旨味たっぷりのコク深いカレーで、石窯焼き野菜の表面は香ばしく、噛めば甘みが広がってジューシー!
続いての食レポはどんぐり粉の自家製石窯ピザセットの1つ「キノコと4種チーズのピザ(¥1,600)」
このランチにはデザートとコーヒーまたは紅茶が付く内容です。
席に届いてすぐ、キノコの芳醇な香りとゴルゴンゾーラの香りが漂い、具材たっぷりな見た目にも惹かれました。ピザ生地にはどんぐり粉が使用されています。
ピザはMサイズぐらいで、大人の男性でも満足できるボリューム感だと思います。
気になるお味は・・・どんぐり粉の生地はパリッと食感で、チーズとキノコは相性ぴったり♪
付属のはちみつ・シロップをかけると、甘さも楽しむことができ、最後まで飽きのこない味わいでしたよ。
この日のデザートはジェラートで、後味さっぱりのバランスがいいランチメニューで大満足でした。
古民家カフェ・レストラン「エン」の営業情報
眺関亭
美味しいランチを満喫したところで、次は関宿の展望スポット「眺関亭(ちょうかんてい)」へ向かいます。
ここは関宿の町並みを高いところから見下ろせるスポットで、2階が展望エリアとなっています。
ここから超望遠レンズを使って撮影した写真がこちら↓
瓦屋根の町家がズラッと立ち並ぶ光景は圧巻の美しさ!
街歩きのフォトスポットとしてもおすすめで、宿場町の面影をとくに感じられる場所だと思います。
眺関亭は百六里庭という小公園の中にある建物で、入口付近にはベンチがあります。
ここに座って旧東海道を眺めるのもいいですね♫
百六里庭は無料入場できるのですが、開館時間の10時〜17時以外は門が閉まっているのでご注意ください。
百六里庭・眺関亭の営業時間
関宿旅籠玉屋歴史資料館
続いて、眺関亭のすぐ近くにある関宿旅籠(はたご)玉屋歴史資料館に入ってみましょう。
ここは武士や庶民が利用した大旅籠だった場所で、江戸時代に使用された旅籠屋の道具や歴史資料が展示されています。
中に入ってすぐ、座った姿勢の人形が展示されていました。算盤を手に添え、宿泊者の名簿のような冊子が机に置かれています。
ここはホテルのフロントのような場所で、草鞋(わらじ)が何足か置いてあります。
徒歩での移動手段が主流だった江戸時代、長距離を歩くことが日常茶飯事だったので、行く先々で草鞋を新調したのだそう。「二束三文」という言葉はそこに由来しているのだとか。
建物の奥へと進むと、昔懐かしい竈(かまど)が綺麗な状態で展示されており、手で触って観察することもできます。
通気性を確保するため、竈の周辺は高さのある天井となっており、宿泊者の部屋に煙が滞留しにくい構造となっていました。
江戸時代の建築技術を目の当たりできる箇所が他にもたくさんあるので、じっくり観察してみてくださいね♫
木造の階段で上の階に登ると、宿泊者の部屋があり、大きな部屋から景色のいい部屋まで様々。
宿場町として栄えた当時、一般的な旅籠屋の宿泊料金は1泊200〜300文が相場で、現在の貨幣価値に換算すると3,000〜5,000円でした。
混雑時には相部屋になることもありました。
離れとの間には手入れされた中庭があり、昔の町家ならではの風情を感じられます。
ここはフォトスポットとしてもおすすめで、着物や浴衣との相性がぴったりでした♫
関宿の町家は中庭のある間取りが多く、この記事で紹介した「関の山車会館」や「関まちなみ資料館」にも中庭があるんです。
建物ごとの中庭の違いを観察するのも、関宿をより楽しむ方法の1つです♫
関宿旅籠玉屋歴史資料館
0595-96-0468
関まちなみ資料館と共通
大人 300円(250円)
学生・生徒・児童 200円(150円)
3館共通入館料(関宿旅籠玉屋歴史資料館・関まちなみ資料館・関の山会館)
大人 500円(400円)
学生・生徒・児童 300円(200円)
※( )内は30名以上の団体料金
9:00~16:30
月曜日(月曜日が祝日・振替休日のときは翌日)12/28~1/4
関宿観光駐車場に駐車してください(徒歩約10分)
JR関駅から徒歩約10分
名阪国道関ICから約10分
深川屋(関の戸)
最後に、「深川屋」に寄ってお土産物選びを楽しみます♫
ここは創業380年の老舗で、関宿の銘菓「関の戸」を伝承するお店です。
深川屋は旅籠玉屋歴史資料館のすぐ近くにあり、このモデルコースでは駐車場までの帰り道に立ち寄れるスポットです。
関の戸は和三盆をまぶした餅菓子で、赤小豆のこし餡を白い求肥皮で包んでいます。
その昔、関宿を行き来していた大名たちの間で人気となり、京都の朝廷にも認められた御所御用達の歴史ある銘菓なんです。
形や見た目は鈴鹿の山に降り積もる雪がモチーフになったともいわれており、由緒ある品のいい和菓子として、お土産にも喜ばれる逸品です♫
関の戸は、亀山市独自の地域ブランド「亀山ブランド」にも認定されています。
亀山ブランドについてはコチラ(亀山市ホームページ)
↓↓↓↓↓↓
関の戸の種類は多数あるのですが、中でも2014年に発売された「お茶の香」は厚生労働大臣賞を受賞し、JALのファーストクラスのスイーツに選ばれました。
「お茶の香」は石臼で挽いた伊勢茶をまぶしたもので、求肥の中はこし餡となっています。
こちらが「お茶の香」の関の戸で、伊勢茶の粉がたっぷりとかかった緑色の見た目が特徴です。
和三盆をまぶした関の戸と比べると、上品な美味しさはそのままに、甘さが控えめで、お茶の渋味も感じられる味わいでした♫
温かいお茶と一緒に食べたくなるような餅菓子で、渋めのお茶好きには堪らない逸品だと思います。
また、2019年に店内で見つかった古文書から、忍びの記述が発見され、「深川屋」は忍びの隠れ蓑の和菓子屋であったことが判明しました。店主の服部さんも忍者の末裔になるそうです。
関宿へお越しの際は、江戸時代からの伝統を守りつつ進化を続ける「関の戸」もぜひご賞味ください。
深川屋 関の戸本舗
0595-96-0008
10:00~17:00
木曜
JR関西線「関駅」下車徒歩10分
名阪国道「関IC」から10分
深川屋からスタート地点の駐車場に戻る途中には、2019年にオープンした土産物店「関見世 吉右衛門」があります。
地元亀山市を始め、三重県内の名物を買うことができますので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
関見世 吉右衛門
0595-86-5780
10:00~16:00
不定休
関宿観光駐車場
JR関駅より徒歩10分
名阪国道 関インターより5分
グルメマップ・ぶらりマップのダウンロード
関宿の観光に便利なグルメマップ・ぶらりマップを下記からダウンロードいただけます。
この記事で紹介したお店やスポットの情報はもちろん、関宿の魅力たっぷりのマップですので、ぜひご活用ください。
伊勢木綿の着物レンタルができる「きもも堂」がOPEN
地元三重県の伝統工芸品「伊勢木綿」の着物レンタルができるお店「きもも堂」が2023年2月にオープンしました!
店主の「谷脇節子」さんは、この記事のモデル役として登場した「三重の文化を愛する会」のメンバーです。
店内では伊勢木綿の着物とレトロ浴衣のレンタルを実施しています。
※現在は一時的に女性限定で着物レンタルを実施
料金は、着物レンタル一式(着付け付)¥5,500(税込)〜で、以下のサイトから体験予約ができますよ。
浴衣や着物姿で関宿を散策すると、普段の衣装では味わえない、時代を超えた小旅行の気分になれますよ🎵
きもも堂は、関宿の展望スポット「眺関亭」の近くにあるので、関宿の観光をすぐに楽しめるロケーションです。
2023年10月からはメンズの着物レンタルもスタート予定なので、最新の情報はきもも堂公式インスタグラムをご覧ください。
きもも堂の営業時間
いかがでしたでしょうか
江戸時代に宿場町として栄えた関宿の歴史をたどるモデルコースをお届けしました。
浴衣で街歩きをする様子もご紹介しましたが、江戸〜明治の街並みがそのまま保存されているので、取材しながらタイムスリップしたような気分にも浸れました。
この記事で紹介した飲食店「エン」は2021年にオープンしたお店ですが、今の関宿では古民家を改築したお店が続々とオープンしています。
歴史ある景観を残しつつも、現代の観光スポットとして進化し続ける関宿へぜひ行ってみてくださいね。
ふがまるちゃん(撮影・記事制作)
観光三重のみえ旅カメラ部に所属し、三重を撮る写真家としてTwitter・Instagramを中心に活動中。三重の風景を無料配布する三重フォトギャラリーと三重の旬な情報を発信する三重のええとこ巡りを運営。
東海道関宿
0595-97-8877
関宿観光駐車場に駐車してください(徒歩約5分)
観光駐車場 大型4台、普通16台、おもいやり駐車1台(無料)
場所はこちら(google maps) https://goo.gl/ygWQ5A
JR関駅から徒歩約5分
名阪国道関ICから約5分
関連スポット
道の駅 関宿
北勢
亀山市江戸時代から続く東海道47番目の宿場町「関宿」の玄関口に位置する道の駅です。町並みに合わせた木造・瓦葺きの外観が特徴的。 売店には地元でとれた新鮮野菜や地元食材をつかった特産品・銘菓などがずらりと並びます。地元のB級グルメ「みそ焼うどん」や「亀山ラーメン」が食べられるレストランも併設されています。 その他、畳敷きの休憩コーナーや周辺の観光情報を集めた情報コーナー、足の裏のツボを刺激する小石敷きの健康遊歩道などがあり、旅の疲れを癒していただけます! 毎週日曜は新鮮野菜市「まめぞろい」を開催しております。 【イチオシ名物】 ・「関の戸」「志ら玉」「亀山茶ソフト」…みやげ物の中でも歴史ある銘菓「関の戸」と「志ら玉」は人気。
関宿旅籠玉屋歴史資料館
北勢
亀山市関宿旅籠玉屋歴史資料館は、市文化財に指定されている江戸時代の貴重な旅籠建築を修復し、旅籠で使われていた道具や歴史資料が展示してあります。関宿の歴史的な町並みとともに皆さんを江戸の宿場の世界へ誘います。
東海道関宿
北勢
亀山市東海道五十三次の47番目の宿場町として栄え、今なお当時の雰囲気が残されている関宿(せきじゅく)。 ここには江戸時代後期から明治時代にかけて建てられた町家が200棟以上も現存し、国の重要伝統的建造物群保存地区(昭和59年選定)や日本の道百選(昭和61年選定)に選定され、見どころがいっぱい。 最近では、インスタ映えするフォトジェニックスポットとしても人気です。 ゆったりとした「まち歩き」を楽しんでみては?