上野天神祭は荘厳!恐ろしく!豪華絢爛!高揚感が止まらない!

掲載日:2020.08.18

400年余の歴史を有し、関西三大祭の一つともいわれる上野天神祭は、ユネスコ無形文化遺産にも指定されています。
荘厳な御神輿の巡行から百数十体の鬼行列、豪華絢爛で巨大な9基のだんじりなど、続々と城下町を巡行します。そのさまは、まるで歴史映画の中に入ったような大迫力!【取材日:2019年10月】

※この記事は、繁体字サイト「三重旅遊情報讚」用に台湾人ライターが繁体字で書いたレポートの日本語版です。
繁体字を使う外国の方向けに三重県の魅力を紹介している記事ですので、少し目線が異なるかもしれませんが、そういった点もあわせてお楽しみください。

繁体字記事:「上野天神祭」 莊嚴!驚悚!豪華!如一場Live歷史電影般,全程壯觀!目不暇給!!


上野天神祭はまるで演出された映画のよう!

歴史の主人公たちが生き生きとした姿で目の前を通っていくお祭りです。

日本の学問の神様

山岳信仰の修験道の開祖

日本で最も力強い武将などが次々に登場!

それぞれの物語を演出します。

参加者が一つになり三日間、情熱を持って最後の最後まで盛り上がり続けました。

華麗な行列やだんじりは勿論、私が最も感動したのは、伊賀市民の方々のお祭りを伝承する使命感、そして強い誇りです。

この祭の主役は、上野天神宮の天神さま

つまり、学問の神様 菅原道真公です。

古くは伊賀上野城にあった上野天神宮は、1611年城下町建設の際に、藤堂高虎による現在の地に奉遷(ほうせん)され城郭鎮守として祀られました。

道真公の神使である牛の座像には、お祝い用の紅白色のしめ繩を付けられていました。

古くからこの牛の座像を撫でると頭が良くなり、病気や怪我を癒してくれると信じられています。

そういうわけで、牛の座像はピカピカに光っていますね。

400年余りの歴史を持つ上野天神祭は、毎年10月下旬の金・土・日に開催されます。

今回は、供奉(ぐぶ)・鬼・楼車(だんじり)の全てが町にでる本祭巡行3日目に参加しました。

開始は朝9時、東御旅所(ひがしおたびしょ)からスタートです。

お祭りの始まりは、上野天神宮の神輿行列
写真は女子が担ぐ神輿です。

次は、男子たちが元気よく神輿を担ぎます。

小さな子供たちも一生懸命に神輿の綱を引っ張りながら練り歩きます。

親たちは、その姿をカメラに収め、子供の成長やお祭りを引き継ぐ姿を記録します。

巫女姿の子供たちの表情もとても楽しそうです。

神輿行列に続くのは、役行者(えんのぎょうじゃ)列と鎮西八郎為朝(ちんぜいはちろうためとも)列の鬼行列です。

二人はいずれも鬼を屈服させ、悪疫を退散させる役目があります。

役行者列の先頭をいく「印」は、なんと高さ6.3メートル、重さ120キログラムを超える日本最大級の巨大な御幣(神道の祭祀で用いられる幣帛の一種)。
陰陽五行に基づき中央の心柱に白、四方の柱には東方に青、南方に赤、西方に黄、北方に黒を彩色し、それぞれに五大明王が宿るとされています。

役行者とは、日本独自の山岳信仰である修験道の開祖です。

この行列は役行者が鬼を従えて、大峰山に入山する姿を表現するもので、1688~1704年頃に上野天神祭に加わったとされています。

伊賀流忍者の元祖ともいわれており、その面は初代藩主の藤堂高虎の眼病平癒の祈祷をした結果、早く癒えたことから、その返礼として寄進を受けたものと言われています。

鬼の大将である「悪鬼」です。
「悪」は邪悪の意味ではなく、腕力にすぐれているという意味です。
 

ひょろつき鬼の「笈持(おいもち)」です。

ひょろつき鬼は4体います。

町で観衆に襲いかかるようにひょろつくと、その恐ろしくもユーモラスな仕草は、大人を笑わせ子どもを泣かせます。

子供たちが悲鳴をだしながら「いい子にします…」という姿は日本独特の文化に思えます。

ひょろつき鬼の「斧山伏(よきまぶし)」です。

ひょろつき鬼たちの顔は怖いけれど優しくも見えます。

とても印象的な鬼たちでした。 

鬼行列の最後に登場したのは、鎮西八郎為朝(源為朝)が鬼ヶ島を征伐し、凱旋する姿を表現する行列です。

鎮西八郎為朝は身の丈は7尺を越え、弓の長さは8尺5寸であったと言われており「日本第一健弓大矢猛将也」と評されていました。

鎮西八郎為朝の子孫がこの行列を考案し、1789~1801年頃に上野天神祭に加わったようです。 

鬼行列の後につくのは、九基のだんじり。

これらは、伊賀市の9つの町がそれぞれ誇りを持って守り継いでいます。

破風の彫刻から幕の刺繍までぞれぞれの歴史価値と芸術性を持ち、絢爛豪華な装飾がみものです。

また、巡行しながらぞれぞれの曲調を演奏し、とても賑やか。

これは中町のだんじりです。

1759年に造られ、その後改築等を経て現在に至っています。

前幕に立体的な麒麟が刺繍された高さのあるだんじりに人が座り、非常に勇壮に見えます。 

鍛冶町のだんじりです。

見送幕の「雲龍文」は中国明時代の綴織(つづれおり)で、孔雀の毛を混ぜて織った三重県指定文化財。胴幕の「籬に菊図」は陶淵明の飲酒詩「采菊東籬下悠然見南山」にならう刺繍です。 

お祭りの時以外はだんじり会館にて常設展示されているそうです。

西町のだんじりです。宮殿を擬した華麗な簾の間があるだんじりです。後幕の牛は立体感に迫力のある刺繍は人の目を奪います。


上野天神祭は天神に歴史・文化に敬意を払う贅を尽くしたお祭りでもあり、豊作への感謝・疫病退散の祈願のお祭りでもあります。見る価値たっぷりなので、お祭り好きな方々は迫力がありながら繊細な美しさも兼ね備えた満点の上野天神祭を是非体験しに来てください。


アクセス:伊賀鉄道伊賀線「上野市駅」。
開催日:10月下旬。
場所:上野市駅の近辺。
公式サイト:https://www.ueno-tenjin-matsuri.com/
【2020年度は、だんじり行事、鬼行列は中止となりました。神事は開催予定です。】


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