二軒茶屋餅で、歴史を感じる食文化ツアーを体感しよう!【角屋民具館、角屋味噌&醤油、伊勢角屋麦酒】
掲載日:2020.12.18
16世紀から手作りの美味しいお餅を提供してきた「二軒茶屋餅」を中心に、食文化を体験してきました!伊勢まちかど博物館にも指定された「角屋民具館」と、約百年の歷史を持つ天然醸造の「角屋味噌・醤油醸造蔵」を見学したあと、最後は1997年から醸造をはじめ、世界のビールコンペティションでもたくさんの金賞を獲得してきた「伊勢角屋麦酒」を見学、そして試飲♪ タイムスリップを感じながら美味しいものを満喫するツアーへ、ようこそ!
※この記事は、繁体字サイト「三重旅遊情報讚」用に台湾人ライターが繁体字で書いたレポートの日本語版です。
繁体字を使う外国の方向けに三重県の魅力を紹介している記事ですので、少し目線が異なるかもしれませんが、そういった点もあわせてお楽しみください。
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伊勢神宮への参拝道として整備された街道のことを「參宮街道」といいますが、その中でも、伊勢湾を横切り、勢田川をさかのぼって、「二軒茶屋餅」の舟着場に上陸することは「舟参宮」と呼ばれていました。
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「舟参宮」はなぜ「二軒茶屋餅」の舟着場に上陸したのでしょうか?
いきなり結論を言ってしまうと、二軒茶屋餅の舟着場が「内宮」と「外宮」へほぼ同じ距離で行ける所に位置していたからです。
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二軒茶屋餅の歴史を遡ってみましょう。
創業は、1575年。
当時この辺りには、角屋(現在の二軒茶屋餅)というお餅屋さんと、湊屋という伊勢うどんを提供していたお店の2軒しかありませんでした。
そしていつからか参拝客が、この2軒のお店のことをあわせて「二軒茶屋」と呼ぶようなり、445年を経た今「二軒茶屋餅」だけがその姿を残しています。
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「二軒茶屋餅」に入ると、どこか懐かしい雰囲気に包まれていました。
店員さんの笑顔にも心が暖められ、ふとお婆ちゃんの家に戻ったような感覚を覚えます。
子供のころの暖かな思い出と目の前に現れた優しい雰囲気が重なったのでしょうか。しばらく、この空間に浸ってしまいました。
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店内を見渡すと、伊勢神宮からの感謝状が掲げられていました。
明治天皇が伊勢神宮へ参拝するため、軍艦で二軒茶屋の船着場に上陸したことを記念する碑も近くにあるそうです。
この舟着場が、当時どれほど重要であったのかがよく分かりますね。
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445年前から提供されていたお餅と暖かいお茶をいただきました。
お餅は、お婆ちゃんたちが毎日店内で手作りしているもので作りたて。上品な小豆餡がたっぷりと、やや薄めのもっちりとした生地に入っていて、仕上げに香ばしいきな粉がまぶされています。素朴だけれど、食感も味覚も香りも楽しめる逸品でした。
日本人には、おめでたい時にお餅を食べる文化があり、伊勢神宮へ参拝するのは人生のおめでたい特別な時でもあるので、参宮街道には実にたくさんのお餅の老舗があります。
二軒茶屋餅もその中の一軒で、伊勢地域では最も古いお餅屋さんでもあります。
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二軒茶屋餅を出てすぐ近く、勢田川沿いにある歴史漂う古い木造の建物(左)は、伊勢のまちかど博物館にも選ばれている「角屋民具館」です。
ここはかつて、沖縄から運んできた黒砂糖を貯めていた二軒茶屋餅の蔵ですが、今は江戸時代から昭和時代までの歴史古物、昔の餅造りの道具や商売道具などの展示を行っています。
ちなみに、凛々しく立っている大楠は、二軒茶屋餅よりご高齢のようです。
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二軒茶屋餅の2階部分は、かつて宿としても営業していたので「角屋民具館」には、当時使用した食器・寝具などが展示されていました。写真に写っているのは大福帳という商業帳簿です。
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二軒茶屋餅に戻り、目の前の道路を横断するとすぐの所にある「角屋味噌・醤油醸造蔵」と「伊勢角屋麦酒神久工場」にも立ち寄ってみましょう。
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「角屋味噌・醤油醸造蔵」は、二軒茶屋餅の18代目の当主が1912年から醸造を始めました。
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蔵の中は、味噌と醤油の良い香りが漂っていて、百年前から使ってきた醸造用の巨大な樽に歴史の重みを感じます。
3年熟成させて造る角屋の味噌と醤油はコクが深く、とてもまろやか。
長年樽に住み着いている天然乳酸菌と酵母菌、そして豊富な経験を持つ職人達の丁寧な手作業によって美味しく仕上がっています。
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角屋の味噌と醤油は少量で醸造されているので、県外にはめったに出荷されず、伊勢神宮の参拝客にとても人気なお土産となっています。
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次は、角屋味噌・醤油醸造蔵のすぐ隣にある、「伊勢角屋麦酒神久工場」へ行ってみましょう。
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二軒茶屋餅の21代目当主 鈴木成宗さんはなんと微生物の専門家。
その知識を生かして、世界最高品質のビールを作ることを目指し、1997年に醸造を始め、今では国内外を問わず、さまざまなビールのコンペティションで受賞を重ねてきました。
(メダルの数は、既に数百枚にも及んでいるそうです!!)
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この「伊勢角屋麦酒神久工場」では、定番のビールの他に、時期限定のビールも多く醸造しています。
売店には、常に10〜20種類のビールが並んでいて、どのビールを選ぼうか、非常に悩みます。
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伊勢角屋麦酒のビールは、いわゆる「クラフトビール」。
(左から、HIME WHITEはフルーティーで爽やか、Pale Aleは芳醇で角屋の定番、Imperial Red Aleは強烈なコクとすっきりとした後味がインパクト大)
それぞれに特徴があり、繊細な香りと味わいを楽しむことが出来ます。それぞれの商品にファンがいて、取材中も、常連さんが続々とビールを買いに来ていました♪
伊勢角屋麦酒
0596-23-2880
11時~17時
不定休
40台
JR伊勢市駅・近鉄宇治山田駅から二見・鳥羽方面行きバス10分「二軒茶屋」下車
伊勢自動車道伊勢ICから10分
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今回のプラン(試飲・試食付き)の流れは
①「二軒茶屋餅」の見学
②勢田川沿いで「舟参宮」の話を拝聴
③「民具館」で、古道具などを見学
④「二軒茶屋餅」でお餅を試食
⑤「角屋味噌、醤油醸造蔵」の見学
⑥「伊勢角屋麦酒神久工場」の見学、ビールの試飲
所要時間は、およそ1時間程度で、二軒茶屋のお餅と伊勢角屋のPaleAleの試飲を含めて、料金はお一人さま600円です。
3名様以上でご見学の場合は、1つ上の写真に写っている3種のビールが楽しめます。
※案内付きの見学は予約制です。
二軒茶屋餅
0596-23-3040
8:00~18:00(売り切れ次第終了)
年中無休
有(伊勢二見線を挟んで向かい側にある伊勢角屋麦酒蔵の駐車場 )
JR「伊勢市駅」・「近鉄宇治山田駅」から二見・鳥羽方面行きバス10分「二軒茶屋」下車
伊勢自動車道「伊勢IC」から約10分
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また、伊勢神宮内宮前のおかげ横丁や外宮参道辺にある「伊勢角屋麦酒」でも美味しい伊勢角屋麦酒のビールが堪能できますよ。
クラフトビールとかき料理「伊勢角屋麦酒 内宮前店」
0596-23-8773
物販 10:00~17:00
飲食 11:00~17:00(LO16:30、季節により異なる)
無休
約1500台(市営駐車場を利用・有料)
近鉄「宇治山田駅」下車、内宮前行きバスにて約20分で「内宮前」下車、徒歩5分。
伊勢自動車道「伊勢IC」で下り、国道23号を内宮に向かって直進、約5分。
伊勢角屋麦酒 外宮前店
0596-20-5505
9:00~17:00
なし
JR・近鉄伊勢市駅から徒歩約4分