『浅田家』写真家・浅田政志が津ヨットハーバーなど地元津市のおすすめの観光地をめぐる。
掲載日:2021.07.02
三重県津市出身の写真家・浅田政志さんが津ヨットハーバーや四天王寺などを巡りながら、各取材先で浅田さんが「魅力的」と思ったものを撮影。浅田さんの素敵な写真とともに「津市めぐり」をいっしょに楽しんでいきましょう~!
四天王寺
059-228-6797
・JR・近鉄「津駅」から「三重会館」行きバス約5分「県庁前」下車・徒歩で約3分
・伊勢自動車道「津IC」から東へ車で約20分
※写真撮影時のみ、マスクを外しています。
四天王寺は津市で最も古いお寺(正確な創建の年代は定かではないものの、平安初期と考えられているそう)。敷地内には織田信長の生母である土田御前や、藤堂高虎の正室の久芳院(くほういん)など、津市ゆかりの人物の墓があります。
今回浅田さんは、幕末に伝来した写真術の研究と発展に寄与した津藩士「堀江鍬次郎(ほりえくわじろう)」氏の墓碑のもとへ。毎年6月1日「写真の日」には、三重県カメラ商組合の人々が墓碑のもとに集まり、堀江鍬次郎氏の法要を営まれているそうです。浅田さんが墓碑の前でゆっくりと手を合わせながら、津市出身の写真家として堀江鍬次郎氏にご挨拶。
浅田さん たまたま日本で写真が普及し始めた幕末時代の頃について書かれた本を読んだときに、津藩士の堀江鍬次郎さんという人の名前が出てきて。僕の出身地の津のことが出てくるとは思わず、本当びっくりしたんですよね。そこから堀江鍬次郎さんに興味を持ち、調べてみて、写真術について研究されているということを知りました。
浅田さん 堀江鍬次郎さんが撮影した写真はあっても、堀江鍬次郎さんご本人の顔写真は1枚もないようなんです。だから墓碑を今のお姿だと思い、撮影させてもらいました。
浅田さん 当時は写真1枚撮るのにも本当に苦労されたようです。必要な化学薬品を精製するために銀貨を溶かしたり、牛血を日光に晒したり、精製する際の臭いがキツすぎて苦情がきたり…堀江鍬次郎さんたちは、想像を絶するような苦労をされて写真に向き合ってて。今僕らが写真を楽しめているのも、堀江鍬次郎さんたちの努力のお陰だと思うし、ずっと手を合わせに来たかったんです。「津で生まれて、写真を好きになって、日々いろんな写真を撮っています」っていうことを、堀江鍬次郎さんが今聞いてくれたら「そうかそうか。頑張りな」って言ってくれるような気がします。
■四天王寺情報
四天王寺
059-228-6797
・JR・近鉄「津駅」から「三重会館」行きバス約5分「県庁前」下車・徒歩で約3分
・伊勢自動車道「津IC」から東へ車で約20分
とね菓子館
059-226-4343
9:00~19:00
水曜日
10台有
百十二年続く老舗菓子屋。四代目の店主・刀根武士さんは浅田さんと中学時代の同級生で、今でも親交があるそうです。和菓子・洋菓子ともに歴代の店主が修行を積み、全国菓子大博覧会では幾度となく賞を受賞。上皇上皇后両陛下、天皇皇后両陛下がお茶菓子を買われたことも。
※写真撮影時のみ、マスクを外しています。
店舗の外壁には浅田さんが撮影した写真が大きく飾られています。昔のとね菓子館の写真などを使って撮影されているため、古くからの常連さんにも喜ばれているそう。
刀根さん 印象は...中学校から今まで変わらないですね(笑)。中学時代から(浅田)政志は人気者だったと思います。政志のお兄ちゃんがファッション好きで、その弟である政志もファッション好きで、周りからはかっこよく見えてた。周りの子が政志のファッションを真似したり、政志の持ってる服を本人から売ってもらったりしてました。で、政志が着た服がみんなの中で回りまわって、後輩まで回っていったこともありましたね(笑)。高校は違う学校に通っていたんですけど、下校後に近所でばったり会ったときは、そのまま家に遊びに行ったりしてました。
浅田さん 写真を始めたときに、「上手くはないけど、写真撮りたいな」って思って。それで、刀根によくモデルになってもらってたんですよ。夜に撮影したいからって呼び出したり…そういうお願いできるヤツもあんまりいなくて。気兼ねすることなく一番お願いしやすかったのが、刀根でした。
浅田さんの撮影が始まると、刀根さんは慣れた様子で撮影に参加。さすが長年の付き合い、あうんの呼吸でした!
浅田さん 撮影の手土産用に、自分自身がよく知っている、とね菓子館のお菓子を持って行っています。どら焼きは自分でもよく買って食べるし、日持ちして、ボリュームもあるから手土産にもちょうどいい。「これ美味いですよ」って言って渡せると、やっぱり話がはずみます。
刀根さん どら焼きは僕が(東京での修行から)帰ってきてから販売し始めました。京都では「和菓子屋」というと、お茶会で出されるような高級な上生菓子を作るところを指すことが多いです。一方どら焼きや大福は朝生菓子といって (日常的なお菓子という扱いで)、上生菓子とは区別されています。僕の祖父は上生菓子しか作らず、当時はどら焼きも大福も団子もありませんでした。僕自身はそういった朝生菓子を勉強してきたというのもあり、僕の代から作りたいと思って、始めました。
浅田さん 和菓子も洋菓子もいろんな種類を買えるのが良いですよね。とね菓子館のどら焼きの中では、梅も塩バターも好きなんやけど...抹茶が一番好き。
刀根さん 政志はめっちゃ甘党なんですよ。ケーキも好きやんな。
浅田さん なんだかんだで週1回は来てるなあ(笑)。手土産用だけじゃなくて、自分や家族用に買いに来ることもあります。3時のおやつに何か食べたいなと思ったら、その日の分だけ買いに来たり。
浅田さん 映画『浅田家!』のロケが津であったときに、とね菓子館のバームクーヘンに「浅田家」の焼き印を入れて、差し入れしたんですよ。
浅田さん 刀根に「焼き印入れるならどんなお菓子がええかな?」と相談しました。実際、スタッフの方やキャストの方に「うまいうまい」って、食べてもらえましたね。その後、誰かがバームクーヘンの写真をSNSでアップしたのを見たのかな...?存在を知って「食べたい」と言ってくださる方もいたようだったので、東京や大阪での写真展で、焼き印入りバームクーヘンを販売しました。それが結構売れて…写真集より売れたかもっていうくらい(笑)
刀根さん 作れんのかコレ?!ってくらい、発注いただきました(笑)。お菓子と写真では接点無いんやろうなって思っていたんですけど、コラボレーションできて嬉しかったです。
■とね菓子館情報
とね菓子館
059-226-4343
9:00~19:00
水曜日
10台有
津ヨットハーバー
059-226-0525
メニューより異なりますので、津ヨットハーバーホームページでご確認ください
第3水曜日
JR・近鉄「津駅」から「米津方面」行きバスで約10分「三重町」から徒歩で約5分
津ICから約15分
写真集『浅田家』では、この津ヨットハーバー・津阿漕浦にて撮影された写真が多数収録されています。映画『浅田家!』でも、重要ないくつかのシーンのロケ地として使用されました。映画を観た方にとっても、印象深いスポットなのではないでしょうか。
※写真撮影時のみ、マスクを外しています。
浅田さん 映画の反響は、やっぱり大きかったです。写真集を出して12~3年ほど経ちましたが、広い範囲の方に知ってもらうきっかけになりました。「浅田家みたいな家族写真撮ってみようかなとか」「写真のプリント、最近してなかったから自分でもしてみようかな」とか、そんな反響がたくさんありましたね。家族の周りでも反響があって。うちのオカンは、映画化決定後、職場の人に拍手で迎え入れられて、かなり盛り上がったみたいです。
映画の撮影がクランクインするまでは、「本当に映画になるんだろうか…」って、信じられなかったです。最初は津市の撮影からスタートでした。その時撮影に参加させてもらって、やっと実感がわいてきましたね。
浅田さん 映画は何回も観させてもらいました。そこで思ったのは、津市の全景、津新町、高田本山や、津ヨットハーバーが出てきたりして、本当に自分の生活圏内というか…そういうところが大きいスクリーンで映し出されると、まちの見え方が変わるんですよ。不思議なもので。映画を観た後、実際に津や津新町のまちをみたりとか、日常生活の中でふと、この阿漕浦に来たりすると、今まで見ていた景色が、ちょっとドラマチックに見える。まちですれ違うただの人でも、ストーリーがあるように感じたりとか、それぞれが映画の主人公のような感じがしてきます。
写真でもそういうことが出来たらいいなって思いました。身近な景色や、いつも食べているごはん屋さんとか…とっても身近なものだけれども、写真というフィルターを通して見てみたときに、「こういう見方もあるんだなあ」とか、いつも自分たちが見えている景色がちょっと違うように見えたりとか、新しい発見があったりとか。そういうことが出来たらいいなと思っています。
浅田さんのお気に入りスポットは、赤い灯台の下。とね菓子館のお菓子(どら焼きなど)をもってきて、ゆっくり過ごすのが好きだそうです。
浅田さん 中高時代もよく津ヨットハーバーに来て写真を撮っていました。カメラを手にし始めたばかりなので、何を撮るのにも楽しくて。フィルムを巻き上げたり、ピントを合わせたりとかして、カシャンってシャッターを切るのが快感でした。
浅田さん 今でも中学校・高校の時と変わらず、海や空が青くてきれいだな、とか、朝日や夕日の時にグラデーションになっててきれいだな、とか思った時に撮っています。
浅田さん 県内外様々なところに撮影に行くのですが、仕事ということもあって、事前にいろいろ考えて撮るっていうか...大掛かりな撮影や、緊張感の走る現場での撮影も多くなってきて。そんな中で津ヨットハーバーは、昔と変わらず、何も考えず、ただ「綺麗だな」と思ってシャッターを押すだけでも許される場所だと思います。
津ヨットハーバーでは「撮りたいから撮る」っていうことが多いですね。リラックスして、撮影を楽しめる場所。なんなら写真撮れなくてもいいですし。親子で遊びに来て貝掘ったり、蟹捕まえたり、なんていう過ごし方もしてます。ただ散歩しているだけでも気持ちいい場所ですしね。
■津ヨットハーバー情報
津ヨットハーバー
059-226-0525
メニューより異なりますので、津ヨットハーバーホームページでご確認ください
第3水曜日
JR・近鉄「津駅」から「米津方面」行きバスで約10分「三重町」から徒歩で約5分
津ICから約15分
前編の「写真家・浅田政志が津ヨットハーバーなど地元津市のおすすめの観光地をめぐる。」はここまで。
後編の「写真家・浅田政志が高田本山など地元津市のゆかりの場所をめぐる。」はこちらからご覧ください!
文章・写真(浅田さん撮影写真以外):MSLP